農場の家畜舎内で、噴霧器を使った消毒作業中に、塩素系消毒剤の中毒症状を起こした
業種 | 畜産業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101636
発生状況
被災当日は、噴霧器を使って、農場の家畜舎の消毒を予定していた。消毒に使用する薬剤を準備するため、作業手順書に沿って、規定量の水と塩素系消毒剤を混ぜた。その後、作業者4人は2人1組に分かれ、家畜舎2箇所について、消毒液の噴霧作業を開始した。作業開始から5分後、目の霞み・涙・鼻水・咳など体調に異変を感じたものの、4人の作業者は、約30分間作業を継続した。その後、作業者4人の体調が回復しなかったため、別の作業者が4人を病院に搬送した。その結果、2人は入院することとなった。 使用した塩素系消毒剤は、本来2,000倍で希釈すべきだったが、作業手順書が誤っており、500倍で希釈されていた。換気装置はあったが使用しておらず、非常口も開放していなかった。また、防護マスク・ゴーグルなどの保護具を使用すべきだったが、不織布または布マスクとフェイスシールド付属の保護帽を着用していた。 |
原因
・ | 家畜舎内の換気を行っていなかったこと |
・ | 適切な保護具を使用しなかったこと |
・ | 消毒剤の希釈濃度を2,000倍にすべきところを500倍と高濃度で使用したため、多量の塩素が発生したこと | ・ | 消毒剤の発売元から使用方法の説明を受けて、指導員が事前に作業手順書を作成していたが、手順書作成時に消毒剤を溶かす分量の記載を誤っていたこと |
・ | 消毒剤の危険性について、作業者に十分周知していなかったこと |
対策
・ | 消毒剤の噴霧作業時は、換気装置の使用、またはそれに準ずる措置を講じること |
・ | 防毒マスクの備付け、および使用する消毒剤に応じた防毒マスクを使用すること |
・ | 安全データシート(SDS)の周知、およびリスクアセスメントを実施すること |
・ | 異常発生時の対応方法を記載した作業手順を作成し、周知すること |