床カーペット接着剤用剥離剤に含まれていたジクロロメタンによる中毒及び薬傷
業種 | ビルメンテナンス業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101626
発生状況
建物内の一室において、床のタイルカーペットの張替え工事を行っていた。作業員1名がカーペットを撤去した後に床一面に残った古い接着剤の除去作業を、特定化学物質であるジクロロメタンを80%含有する剥離剤を使用して行った。作業終了時刻を1時間ほど過ぎても被災者が姿を現さないことに気づき、同工事の元請事業者の現場責任者が様子を見に来たところ、室内で同作業員が倒れていた。 救急車にて搬送された医療機関において処置を受けたところ、災害発生当日のうちに意識は回復したものの有機溶剤による急性中毒等の診断を受け、薬剤が広がった床の上に倒れて体前面に負った薬傷とあわせて、5日間の入院加療を含め7日間の休業となった。作業者は防毒マスクを装着していたが、剥離作業を行っていた部屋は窓がなく、換気扇はあったが被災者がスイッチの場所が分からなかったため作業当時は稼働しておらず、充満した有機溶剤の蒸気により防毒マスクの吸収缶が破過した可能性がある。 |
原因
・ | 揮発性が高く、有害性の高い剥離剤を使用して、換気装置が作動していない部屋で屈んで作業したことにより、高濃度の有機溶剤の蒸気を吸い、防毒マスクの吸収缶が破過した可能性が高いこと |
・ | 皮膚への接触を防ぐための耐溶剤性の保護衣や手袋を使用していなかったこと |
対策
・ | 有機溶剤の蒸気は密度が高く床付近に滞留するため、床付近に顔を近づけて作業しない |
・ | 換気装置の稼働の必要性や、稼働方法(スイッチの場所など)、換気装置がない場合の代替方法について事前に作業員に周知する。また、作業員は換気装置が稼働しない場合は、速やかに監督者の指示を仰ぎ、作業を中止する |
・ | 高所にある換気扇は床付近の溶剤蒸気を効率よく排気できないため、換気は低いところを対象に用意する |
・ | ジクロロメタンは防毒マスクの吸収缶を短い時間で破過させるので、頻繁に吸収缶を交換する |