当該事業場では、第一種圧力容器を用いて、食品製造に係る工程の一環として、ビン等の滅菌作業を行っていた。当該圧力容器は小型ボイラーから蒸気を供給される構造であり、ボイラーの供給圧力は圧力容器の最高使用圧力よりも大きかった。 災害発生時、ボイラーと圧力容器を接続するパイプの減圧弁のバルブが遮断されており、減圧弁を介さないバイパス経路により、ボイラーから圧力容器へ直接蒸気が流入する状態であった。そのため、圧力容器内に最高使用圧力を超えた蒸気が流入し、圧力容器は内圧に耐えられず破裂した。その際、圧力容器本体を地面に固定していなかったため、圧力容器は破裂の衝撃で大きく移動し、建屋内を破壊しながら滑走した。なお事業所内は無人だったため、人的被害はなかった。 第一種圧力容器の設置時には、設置届/落成検査等の法定手続きが必要だが、当該圧力容器についてそれらは実施されておらず、検査証が発行されていなかった。そのため、設置から長期にわたって性能検査等の法定検査を受けておらず、災害発生時も安全弁が有効に機能していなかった。また、有資格者の中から「第一種圧力容器取扱作業主任者」を選任しなければならないが、講習等を修了した者がおらず選任されていなかった。 |