アクリルパウダー製造設備にて、重合開始剤の自己発熱分解と急激な圧力上昇に伴う貯蔵タンクの爆発による負傷
業種 | 化学工業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 爆発性の物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101580
発生状況
事業場内トナー工場のアクリルパウダー製造設備にて、重合工程で使用する重合開始剤tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(以下「PB-O」という。)を貯蔵していたタンクが破裂及び爆発し、その後火災に至ったものである。付近にいた4名が火傷等により負傷した。PB-Oは自己反応性物質であり、上限保存温度が20℃以下とされているが、外気温の高いときにタンクの冷却能力を超える量を投入したことやタンクが攪拌機能を備えていなかったことから、タンク内で自己発熱分解が進み、タンク内の圧力が急激に上昇して破裂し、爆発したものと推測される。 |
原因
1 | 作業標準書・マニュアル未作成 |
2 | 緊急時マニュアル未作成 |
3 | 安全衛生教育不足 |
4 | 作業環境管理不足 |
5 | 作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足 |
対策
1 | PB-O(自己反応性物質)を貯蔵するタンクの構造は、上限保管温度を超えない適切な温度に冷却できる構造とすること。 |
2 | 新規設備を導入するときは、内容物の特性を十分把握するとともに、過去の実績に頼らずにあらゆる状況を想定して安全な設計を行うこと。 |
3 | PB-Oが危険物(自己反応性物質(上限保存温度が20℃))であると再認識し、関係者への再教育を行うこと。 |
4 | PB-Oを貯蔵タンクに投入する作業について、外気温による影響を少なくする作業標準を整備し、関係者に周知すること。 |