トリアジド化合物の生成実験中、窒素ガスが爆発的に生成し、ナスフラスコの破裂による目と手を負傷
業種 | 教育・研究業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の起因物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101576
発生状況
被災者は、塩化シアヌルを出発原料として、メチロール化合物の合成経路を探索することを目的とした実験を行っており、第一段階としてトリアジド化合物を生成していた。 被災時はナスフラスコに残っていた約5gのトリアジド化合物を小分けしようとしていた。左手でナスフラスコを寝かせた状態で持ち、右手で金属製スパチュラ(サジ)をフラスコに入れたところ、窒素ガスが爆発的に発生、その圧力でフラスコが破裂した。破裂したフラスコのガラス片で、右目、左手を負傷した。アジド化合物は、衝撃、摩擦、熱により爆発する可能性があるため、樹脂製のスパチュラを使用するのが化学的な常識であるところ、金属製のものを使用、さらに、保護メガネ、保護手袋等の保護具も着用していなかった。 |
原因
1 | 適切な保護具未着用 |
2 | リスクアセスメント未実施 |
3 | 作業標準書・マニュアル未作成 |
4 | 安全衛生教育未実施 |
5 | 作業者の危険有害性認識不足 |
6 | 作業者の作業手順・指示等の不履行 |
7 | 作業主任者・管理責任者等の職務不履行 |
8 | 異常反応・暴走反応による温度・圧力上昇に伴う機器・設備の破損 |
対策
1 | 反応性の高い「トリアジド」を取り扱う際は、樹脂製スパチュラを使用すること。 |
2 | 労働者の作業実態を確認し、危険な作業が認められた場合は、必要な再教育を行うこと。 |
3 | 合成等の作業を行う場合は、あらかじめ、爆発、器具の破損の可能性について十分検討し、必要に応じて保護具等を使用して作業を行うこと。本件については、保護手袋、もしくはナスフラスコを保持する器具、目を保護するゴーグルが必要であったと認められる。 |