アンモニア水タンクの弁の閉止作業中、ボールバルブが破断、脱落し、アンモニアを全身に暴露したことによる死亡
業種 | パルプ・紙製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101575
発生状況
アンモニア水タンクの液面計管台付き弁の閉止作業をするにあたり、ボールバルブが固着していたため、潤滑油をステム(弁棒)に馴染ませ、暫くたった後、1名が液面計本体を手で支え、1名がモンキーレンチをパイプに差し込んだもの(約89cm)でステムを回した直後、ボールバルブのふた部分が破断、脱落し、アンモニア水(濃度約25%)が噴き出し、2名に被液、1名は防液堤内で意識を失い倒れ、5日後に死亡した。また、同じ作業を行っていた1名は防液堤外に脱出し軽傷、救助にあたった1名も軽傷を負った。ボールバルブの点検はこれまで外観の目視によるもののみであったが、調査の結果、内部が腐食していたことが判明した。 |
原因
1 | 適切な保護具未着用 |
2 | 適切な呼吸用保護具未着用 |
3 | 作業標準書・マニュアルの不備 |
4 | 装置・設備の管理不足・点検不備 |
5 | 装置・設備の点検・管理体制不備 |
6 | 作業員への指示不備 |
7 | 作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足 |
8 | 機器・設備の破損 |
9 | 応力腐食割れ |
対策
1 | ボールバルブのステムの動きが悪いときは無理に開けず、必要な災害防止対策を講じたうえで作業を行うこと。 |
2 | ボールバルブの操作をするときは、目視、過去の点検結果及び使用年数等により、ボールバルブの状態を確認し、作業方法を決めた上で作業を行うこと。 |
3 | アンモニア水が飛散するおそれのある作業を行う際は、不浸透製の保護衣及び呼吸用保護具等を着用すること。 |
4 | 作業前に作業方法及び使用する化学物質から想定されるリスクの検討を行い、必要に応じ作業方法の変更及び保護具の着用等の適切なリスク低減対策を講じること。また、検討を行った結果については、作業者に周知徹底を図ること。 |
5 | 製造者及び過去の使用状況からボールバルブの交換基準を定め、強度が低下する前に交換を行える仕組みを構築すること。 |
6 | ボールバルブの点検方法について、外観の目視による点検に加え、長期に使用しているものは必要に応じて内部の目視、厚み測定、非破壊検査等により点検を行うこと。 |