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労働災害事例

医薬品の中間原料である紛体を真空乾燥中、静電気放電による爆発

医薬品の中間原料である紛体を真空乾燥中、静電気放電による爆発
業種 化学肥料製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の装置、設備
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.101571

発生状況

 合成工場において、医薬品の中間原料メタンスルホン酸2-[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェノキシ]エチル (以下「KMD」という。)紛体を真空乾燥するため、2階乾燥機投入室の投入ホッパー(金属製で漏斗状をしており、シュートを介して真空乾燥機に入る。)に、作業者2名がポリプロピレン製のスコップで投入作業を行っていたところ、突然爆発した。
 事故発生時に投入していたKMD紛体は、白色粉状で、残留有機溶剤のヘプタンを重量%で約5%含んだものであった。
 調査により、粉体は最小着火エネルギーが小さく、静電気放電に対して極めて鋭敏な物質であることが判明しており、帯電した粉体からの静電気放電による爆発と考えられた(静電気放電の発生源は特定できなかった)。

原因

1 SDSの記載内容不十分
2 作業標準書・マニュアルの不備
3 安全衛生教育不足
4 装置・設備の管理不足・点検不備
5 装置・設備の点検・管理体制不備
6 作業環境管理不足
7 作業員への連絡不足
8 作業者の危険有害性認識不足
9 作業者の経験不足/初めて
10 作業主任者・管理責任者等の経験不足/初めて
11 作業主任者・管理責任者等の指示内容の検討不足
12 作業開始前の濃度測定未実施
13 作業中の濃度測定未実施

対策

1 爆発性雰囲気の形成防止について
 爆発性混合気の排除を目的に真空乾燥機内部を不活性化し、酸素量を減少させること。なお、窒素ガス導入による着火爆発防止効果は粉体毎に異なる可能性があるため、現場で取り扱う粉体(KMD等)を対象に評価・対策を行うこと。
 真空乾燥機内部を不活性化したとしても粉体の投入により真空乾燥機内に空気が入るため、正確な酸素濃度の測定等の管理を行うこと。
 開放された場所での粉体の投入作業は、爆発性雰囲気が形成されない方策をとること。例として、ロータリーバルブが付属したホッパーを用いた投入作業を含めて検討すること。
2 導体の接地・ボンディングについて
 シュートは静電気帯電防止用を確実に使用し、導電性部分の接地の措置を確実に講じること。また、静電気帯電防止に効果があるかについて定期的に評価し、必要に応じて交換等すること。
 静電気帯電によって着火・爆発する可能性が高いKMDについて、一度の投入量を少なくすること。また、静電気の原因を作らないため、粉体が少量残った袋などは安易に振らないこと。
 最小着火エネルギーが10mJ以下の粉体の袋類には絶縁性のものを使用しないこと。
3 管理について
 現場責任者、作業従事者に対して取り扱う物質の特性、静電気による危険性やその対策に関する教育を繰り返し、定期的に実施すること。
 静電気に関する災害防止対策を早急に確立し、プラント設計・作業手順書に反映させるとともに、作業者への周知徹底を図ること。