猫を救助するために岩風呂遺構内に入り、高濃度の二酸化炭素および低濃度の酸素によって低酸素脳症で死亡した。
業種 | 浴場業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業環境の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 心理的原因 | |||||
発生要因(管理) | その他の危険場所への接近 |
No.101560
発生状況
日帰り温泉施設内に展示している岩風呂の遺構内に迷い込んだ猫を救出するため、被災者は遺構の内部に入った。遺構の最下面(風呂の底)は床面から1.8m下で、周囲に石積み跡がある。被災者は遺構内に入り、底で横たわっていた猫を抱き上げて出入口に戻ろうとしたところ、急に苦しみだしてその場で倒れた。翌日に低酸素脳症により死亡した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 遺構内部の換気が不十分だったため、地表面から湧出した二酸化炭素の濃度が高くなり、酸素濃度が低くなったこと。 |
2 | 遺構内部が高濃度の二酸化炭素および低濃度の酸素状態だったにも関わらず、当該濃度を確認せず、内部に入ったこと。 |
3 | 遺構内部が酸素欠乏危険場所であるとの認識が、関係労働者になかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
0 | 酸素欠乏等の生じやすい場所である遺構内部は原則立ち入り禁止とする。立ち入りが必要な場合は以下の1〜4の対策を行う。 |
1 | 館内の既存換気設備の常時稼働だけでは、滞留した二酸化炭素の排出が不十分であり、酸素濃度が上昇しないため、遺構内部に新たな換気設備を設置し、館外の空気を取り込み、継続して換気を行うこと。 |
2 | 館内および遺構内の二酸化炭素および酸素濃度を測定する設備(警告灯等により目や耳で確認できるもの)を設置し、常時測定すること。 |
3 | 遺構内部に立ち入ることなく、上から落とし物等が取れる治具を使用する等、遺構に関する作業標準を策定し、当該作業標準により作業を行うこと。 |
4 | 遺構内部で作業を行う場合、酸素欠乏症等に関する危険性等について関係労働者に対して安全衛生教育を実施すること。 |