インクジェットヘッドの洗浄作業におけるイソプロピルアルコール中毒
業種 | 電気機械器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101552
発生状況
本災害は、インクジェットヘッドを製造する事業所において、インクジェットヘッドの洗浄作業中に発生した。 被災者はイソプロピルアルコール(以下、IPA)を使用したインクジェットヘッドの洗浄作業中、誤ってIPAの入った一斗缶を倒してしまい、床にこぼれたIPAをふき取る際、有機ガス用防毒マスクや保護手袋を使用することなく作業しIPAに直接ばく露した。被災者は吐き気を訴え、IPA中毒と診断された。有機溶剤健康診断は受診していなかった。 |
原因
1 | 有機ガス用防毒マスクの着用など、有効なばく露防止対策を講じないままふき取り作業を行い、揮発したIPAの蒸気を吸い込み、ばく露したこと。 |
2 | IPAの処理方法におけるリスクアセスメントが実施されていなかったこと。 |
3 | IPAが漏えいした場合における作業標準書が作成されていなかったこと。 |
4 | 被災者がアルコールとの飲み合わせに注意が必要な薬を服用していたにも係わらず、IPAを用いる洗浄業務に配置転換することについて、産業医からの意見聴取等の医学的な検討がなされていなかったこと。 |
5 | 洗浄作業場の作業環境を的確に把握していなかったこと。 |
対策
1 | IPAの入った一斗缶は密閉し、労働者が接触するおそれのない場所に設置すること。 |
2 | IPAが漏えいした場合の作業標準を定め労働者に周知すること。また、漏えいしたIPAへのばく露を防止するため必要な保護具を作業者の人数分備え付けること。 |
3 | 労働者を有機溶剤業務に配置転換する際は有機溶剤等健康診断を実施すること。 |
4 | 労働者をIPA使用の洗浄業務に配置転換する際は、産業医の意見聴取を実施すること。 |
5 | 有機溶剤等を使用する洗浄業務を行う作業場について6月以内ごとに1回、定期的に作業環境測定を実施すること。 |