鶏舎内で殺虫剤の散布作業中、有機リン中毒となる
業種 | 畜産業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101544
発生状況
本災害は、農場の鶏舎内で、殺虫剤の散布作業中に発生した。 被災者Aは、午後1時頃から、動力噴霧器を用いて有機リン系殺虫剤の散布作業を行っていた。上下雨具、長靴、ヘルメット、防じん用保護メガネ、マスク(不織布製)、塩ビの手袋を着用していたが、手袋や雨具袖口の内側に殺虫剤溶液が浸み込み、前腕部分に付着した。また着用したマスクにも付着していた。午後6時頃、体調に異変を感じたがそのまま作業を続け、午後6時30分頃作業が終了した。その後、嘔吐等の症状が現れたため家族へ連絡し、家族とともに病院へ行ったところ、有機リン中毒の診断を受けた。 |
原因
1 | 殺虫剤溶液が前腕及び口付近に付着した際、直ちに水で洗い流さず、そのまま殺虫作業を行ったこと。 |
2 | 長さが短く、殺虫剤溶液が手袋の内側に入り込み易い手袋を使用したこと。 |
3 | 殺虫剤溶液がマスク内側に染み込み易いマスクを使用したこと。 |
4 | 殺虫剤溶液の取扱いについて、SDS等を用いての危険性を十分に認識させる教育を行っていなかったこと。 |
対策
1 | 殺虫剤溶液は人体への毒性を有しない物質を使用すること。ただし、毒性を有する殺虫剤溶液を使用する場合、身体に付着した際、直ちに多量の水と石鹸で洗い流すこと。 |
2 | 薬品に対応した材質の長い手袋を着用し、殺虫剤の前腕への付着を防ぐこと。 |
3 | 不浸透性マスクや顔面保護具等を使用し、殺虫剤溶液の顔への付着を防ぐこと。 |
4 | 殺虫剤溶液等を取扱う場合は、SDS等を用いて危険性を十分に認識させる教育を行うとともに、SDSを作業場の見やすい場所に掲示する等により関係労働者に周知すること。 |
5 | 毒性を有する粉末状の製剤を取扱う際は、防じんマスクを使用すること。 |