医薬・農薬用中間体となる物質を製造中、硫化水素中毒となり死亡
業種 | 化学工業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101541
発生状況
医薬・農薬用中間体となる物質を製造中、反応釜中の硫化水素ガスを除去する脱ガス工程において、硫化ガスが漏洩した。当該事業場の化成品第一工場にある小部屋内で労働者Aが仰向けに倒れていたのを、別の作業をしていた労働者Bが、硫化水素臭に気付いて発見した。BはAの救助に向かったが、意識が朦朧として転倒し、頚椎捻挫を負った。Aは救急隊員によって病院に搬送されたものの、硫化水素中毒による死亡が確認された。 通常は大気開放バルブを「開」の状態でガス抜きを行うが、「閉」の状態で作業したために、反応釜内の圧力が急変して硫化水素ガスが漏洩したものと推定される。 |
原因
1 | エアバルブの切替レバーについて作業手順を間違い、大気開放バルブが「閉」となっていたため、反応釜内の圧力が急変したこと。 |
2 | 仮設の真空ラインのはめ込み部が圧力の急変で外れたこと。 |
3 | 硫化水素ガスの検知装置が屋外に設置されていたため、屋内における硫化水素ガス漏洩を検知できなかったこと。 |
4 | 硫化水素ガス漏洩のおそれがあるにも関わらず、呼吸用保護具を着用しなかったこと。 |
対策
1 | 作業規定に基づく作業手順については、繰り返し教育を行い、周知徹底を図るとともに、当該作業規定を見やすい場所に掲示する等、適宜確認が行えるようにすること。 |
2 | 配管の接合は、外れたり内容物が漏洩したりしないように接合させること。 |
3 | 屋内で硫化水素ガスが漏洩した場合にも検知できるよう装置を設置すること。 |
4 | 関係する労働者に携帯用検知器を着用させること。 |
5 | 有害なガス等が漏洩するおそれがあるときは、労働者が速やかに適切な呼吸用保護具を着用させ、退避させること。 |
6 | 化学物質等の漏洩に備え、労働者や関係者の訓練等に努めること。 |