船の機関室下タンク内で、手直し塗装の作業中、有機溶剤中毒となり入院
業種 | 造船業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101537
発生状況
本災害は、建造中の船の機関室下タンク内で、手直し塗装の作業中に発生した。 被災者は同僚の業務代替要員として休日出勤したが、一人で、建造中の船の機関室下タンク内に手直し塗装の確認のため立ち入った際、手直し塗装不十分の箇所があると判断し、スプレー缶(ジメチルエーテル・トルエン・エチルベンゼン等含有)を用いて不十分箇所の吹きつけ塗装を行い、数分後に意識を失った。翌日、被災者の上司がタンク内で両肘を抱えて座り、意識喪失している被災者を発見し、救急搬送をされ、有機溶剤中毒と診断された。長時間、同一姿勢で狭あいな場所にいたため、右下腿切断に至った。 |
原因
1 | 予定になかった作業を行うことを自ら判断し、著しく通気の悪いタンク内部で、有害物質を含むスプレー缶による吹き付け塗装を行うに当たり、換気装置を設けることなく、また、防毒マスクも使用せず作業をしたため、有害なガスを相当量吸入したこと。 |
2 | 被災者は、通常、塗装業務に従事することはないが、塗装作業担当者が他の作業中であったため、約束の期日までに船体を引き渡すためには、自分が作業するほかないとの心理的作用が働いたこと。 |
3 | 災害発生から発見までに17時間以上経過しており、窮屈な同一姿勢のまま狭あいな場所に長時間放置されたことが、被害状況を拡大させたこと。 |
対策
1 | 塗装作業の担当者以外が、有害物質が含まれるスプレー缶による吹き付け塗装を安易に行うことがないように徹底すること。仮に突発的に行う必要が生じたときには、換気及び保護具の使用等有害なガスに対するばく露防止対策を徹底すること。 |
2 | 進捗状況よりも安全衛生を優先させる気運を向上させるための方策を講じること。 |
3 | 危険箇所の出入りについては、労働者の入退場をチェックし、負傷者の置き去りがないように努めること。 |