赤燐を投入作業中、火災が発生し、死亡
業種 | 化学工業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 化学設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101509
発生状況
本災害は、エポキシ樹脂を製造する工場で、赤燐を投入中に発生した。 エポキシ樹脂を製造する工場において、ジャケット付き攪拌溶解器に原料の仕込み作業行っていた作業者が、当該容器の上部マンホールから赤燐を投入中に火災が発生し、マンホールから噴出した火災により身体の60%〜70%に重度の火傷を負った。その後、作業者は皮膚移植等の治療を受けていたが、感染症(敗血症)による多臓器不全のため死亡した。 |
原因
1 | 投入網が赤燐の投入により動いたため、衝撃及び摩擦により発火して着火源となり、攪拌釜内のブチルグリシジルエーテル蒸気に引火したこと。 |
2 | 赤燐の投入が終わるまでは、攪拌釜内に窒素を送給することになっていたが、災害発生当日は、窒素送給をしていなかったこと。 |
3 | 赤燐の投入が終わるまでは攪拌釜内を加温しないことになっていたが、災害発生当日は、エポキシ樹脂等を仕込むと同時に加温を開始していたため、ブチルグリシジルエーテルの引火点以上の温度になっていたこと。 |
4 | 攪拌釜を使用して樹脂を製造する際の作業方法及び作業手順が、作業者に周知徹底されていなかったこと。 |
対策
1 | 投入網が、投入の衝撃で動くことがないよう、緩衝ゴムで固定するなどして、マンホールと投入網との隙間に入った赤燐に衝撃及び摩擦を与えないようにすること。 |
2 | 攪拌釜の窒素置換を確実に行うこと。 |
3 | エポキシ液状配合樹脂の原料に含まれる物質のうち、最も引火点が低い物質の引火点以上の温度で容器を運転している際は、原則、攪拌釜を密閉化すること。 |
4 | 攪拌釜の使用及び危険物の取り扱いに係る業務に従事する作業者に対して、作業方法及び作業手順の周知徹底を図るため、必要な安全教育を行うこと。 |