無水酢酸をポンプ注入する作業中、角膜損傷となる
業種 | 化学工業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101505
発生状況
本災害は、無水酢酸をポンプ注入する作業に発生した。 ヘキシルアセテート製造の原料である無水酢酸750Lを、ステンレス製1,000L容器にポンプ注入する作業中、担当者が持ち場を離れたためポンプ停止が遅れ、当該容器から無水酢酸が流れ出し、床面に約4.4m×9.4mの広さで広がった。床にこぼれた無水酢酸を中和させるため、作業員5名がソーダ灰(炭酸ナトリウム)を床に撒く作業を行った際、気化した無水酢酸蒸気が作業者の目を刺激した。作業員はそれぞれの判断で保護具を着用した(1名が全面形防毒マスク、他4名はゴーグル)が、ゴーグルの隙間等から無水酢酸蒸気が目に入った。病院を受診し、4名が角膜損傷と診断された。 |
原因
1 | 無水酢酸を1,000L容器に投入中に、担当者が持ち場を離れたことにより、必要量を超えて投入され続け、自動的にポンプが停止する機能がなかったため、当該容器の量を超えて投入され続けたこと。 |
2 | 無水酢酸を1,000L容器からあふれて漏れ出すこと等の異常時に対する作業標準が作成されていなかったため、作業員各々が、それぞれの判断で保護具を着用し、その結果1名のみが全面形防毒マスクを着用したが、4名がゴーグルを着用したことにより、ゴーグルの隙間等から当該無水酢酸の蒸気が目に入ったこと。 |
対策
1 | 無水酢酸の投入作業について、一定の投入量に達した場合に、ポンプが自動停止する機能を設ける等の設備改善を図ること。 |
2 | 無水酢酸の漏えいなど異常時に対する作業に関し、作業手順のほか着用すべき保護具や使用する器具などについて記載した安全な作業標準を作成し、関係労働者に周知させること。また、作業において使用する化学物質の性質及び注意事項について、定期的に教育を行い、作業労働者の認識を高めること。 |