プール設備の保守点検作業中に塩素ガス中毒
業種 | 卸売業・小売業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101497
発生状況
小学校のプール設備で、プール機械室から塩素の臭いがするとの情報をプール設備の保守点検業務を委託されていた事業場に教育委員会から連絡が入った。現場に急行したところ、教諭が凝集剤注入装置に誤ってプール塩素濃度調整用の次亜塩素酸ナトリウムを注入したことにより塩素ガスが発生し、プール設備の保守点検業務を行っていた作業員(配管工)が塩素ガスにばく露されたことが判明した。被災者は機械室の戸及び窓を開けて換気を行い、反応している凝集剤注入装置を屋外に運び出し、プールの排水を利用して中和し、排水処理を行った。作業者は帰社して数時間後、呼吸が苦しくなり、救急搬送され塩素ガス中毒、急性呼吸不全と診断された。 |
原因
1 | プール当番が行う滅菌剤等の注入作業を含めた作業について、教諭による確認が徹底されず、凝集剤タンクに誤って滅菌剤を注入したこと。 |
2 | 凝集剤タンクと滅菌剤タンクにはそれぞれの名称を表示していたが、同色、同サイズで併設してあったため、誤投入する可能性が高いにもかかわらず、ヒューマンエラーを防止するための設備的な対策を講じていなかったこと。 |
3 | 塩素ガスが発散している場所において処理作業を行う際、防毒マスク等の保護具を備えておらず、使用せずに作業を行ったこと。 |
4 | 取り扱う可能性のある化学物質に係る有害性等の安全衛生教育を実施しておらず、また、緊急作業ではあったが、リスクアセスメントが実施されていなかったこと。 |
対策
1 | プール当番が行う滅菌剤等の注入を含めた作業について、作業分担、方法、必要人員等を定めた作業手順等を明確に定め、当該手順を徹底すること。 |
2 | 凝集剤タンクと滅菌剤タンクへの誤注入を防止するため、タンクへの名称表示以外に色分け、蓋の施錠、自動充填等の設備等の改善を検討し、有効な対策を講じること。 |
3 | 作業に従事する可能性のある人数分以上の防毒マスク等の保護具を備え付け、必要に応じて使用できるように常に有効かつ清潔に保持しておくこと。 |
4 | 取り扱う可能性のある化学物質に係る安全衛生教育を実施するともに、緊急作業であっても事前に予想される作業についてリスクアセスメントの実施に努めること。 |