病院の雑排水処理装置にて塩素ガスを吸入
業種 | ビルメンテナンス業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業環境の欠陥 | |||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101472
発生状況
本災害は、病院敷地内の雑排水処理装置の点検中に発生した。 雑排水処理装置の滅菌剤貯留槽の点検監視業務を行っていた作業者は、滅菌剤貯留槽に次亜塩素酸ナトリウムを補充するため補充用処理剤置き場に取りに行った際、誤ってポリ塩化アルミニウムを当該貯留槽まで運び、補充口から補充した。直後に強い塩素臭と槽内の発泡状態を感じた作業者は、処理剤の誤投入に気づき、貯留槽の排出口を開放して薬剤を放出させた。放出した薬剤は床上でゼリー状となったため、不織布マスクを着用し、ちりとりと箒で薬剤を集めてバケツに入れて処理した。報告を受け確認のため現場を訪れた被災者は、作業者とともに薬剤の回収作業を行ったが、体調不良となり事務所に戻ったあと、痙攣と唇の変色症状が出て意識を失い心肺停止となった。その後、AEDにより蘇生したが、一時意識不明状態の重体となった。 被災者は低酸素脳症と診断され、6ヶ月間休業した。 |
原因
1 | ポリ塩化アルミニウムを次亜塩素酸ナトリウムと取り違え誤投入したこと。 |
2 | 塩素ガスが大量発生した現場において、適切な防護措置を行なわず処理作業を行ったこと。 |
3 | 処理剤の誤投入時(塩素ガス発生時)に対処するための呼吸用保護具等の備付けやマニュアルの整備がされていなかったこと。 |
対策
1 | 2種類の薬剤置き場を遠隔させる、容器の表示・色・形状を変える等、誤投入を防ぐための措置を講ずること。 |
2 | 塩素ガス発生時に対処するための呼吸用保護具等を事前に配置するとともに、マニュアルを作成し、教育訓練を実施すること。 |
3 | 本件災害におけるリスクアセスメントを実施し、その結果に基づく改善を実施すること。また、作業場所に応じた危険・有害性に対する要因を常に検証し、その結果に対しリスクアセスメントを実施することにより危険・有害性の低減を図ること。 |