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労働災害事例

貯槽内点検時、両目の角膜炎

貯槽内点検時、両目の角膜炎
業種 無機工業製品製造業
事業場規模 300〜999人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業環境の欠陥
発生要因(人)
発生要因(管理) 運転中の機械、装置等の掃除、注油、修理、点検等

No.101428

発生状況

 本災害は、無機化学工業製品製造工場において、酸性液の貯蔵槽の定期点検中に発生した。当該工場では、工業化学品の貯槽内定期点検のため、酸性の液体である貯蔵物を排出し苛性水により中和処理後、送風機で5日間乾燥させた当該貯槽内に、被災者3名を含む作業員4名で立ち入り、清掃作業を行っていた。被災者は貯槽内の点検及び残留物(水垢)の除去を行った。その後、被災者2名が作業終了直後に事業場内で入浴した際、また残り1名は翌日朝に洗顔した際に、それぞれ眼に充血や痛み等の異常を自覚したため、医療機関を受診したところ、両目角膜びらん及び両目角膜炎と診断された。
 酸性液体である貯蔵物は、主成分として、眼・呼吸器粘膜・皮膚に対して刺激性及び腐食性の物質ジメチルチオホスホリルクロライドを70%以上含んでいた。被災者らは保護めがね及び呼吸用保護具(使い捨て式防塵マスク)を着用していたが、保護めがねは顔面密着式でないものであり、空気が眼部に直接接触する状態であった。

原因

1 眼刺激性物質が、ライニング材に浸透していたものが洗浄中に染み出し、霧状に飛散もしくは気化して蒸散し、密着式ではない保護めがねの隙間から眼中に入ったこと。
2 当該作業にかかるリスクアセスメントが行われておらず、有害性の認識が不十分であったこと。

対策

1 眼への刺激性が指摘されている有害物取扱業務を行わせる場合には、飛沫又は蒸散に対し、ゴーグル型等の有効な保護めがねを使用させること。
2 有害物取扱業務については、「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づきリスクアセスメントを実施し、危険有害性のリスク評価及び低減措置を講じること。その上で、作業方法及び使用する保護具について標準化し、作業手順書を作成すること。