コンパネを用いてかご台車をトラックの荷台に載せていたところ、転倒したかご台車が背中の上に乗りあげた
業種 | 貨物取扱業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の起因物 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101397
発生状況
被災者は、配送センター内にて、トラックに約400kgの荷物を積載したかご台車を積み込む作業を行っていた。その際、荷受け口と荷台の間にあった約10cmの段差を解消するため、荷受け口とトラックの間に、コンパネと呼ばれる木製の板を渡していた。 作業開始からしばらくたって、被災者は、斜めに倒れたかご台車と荷台の間に「体操座り」のような姿勢で倒れていたところを、構内にいた他社運送事業場の労働者に発見された。 本災害の目撃者はいないが、被災者は発見されたときかご台車の下にいたこと、発見されたときの姿勢が「体操座り」のような姿勢であったこと、医師が「死因は、重量物に押しつぶされるかたちで呼吸ができなくなったことによる窒息」と判断していることから、被災者は、荷受け口からトラックの荷台にかご台車を積み込むため、荷受け口とトラックの荷台の間に渡したコンパネを用いてかご台車をトラックの荷台に載せる際、荷の進行方向にいてかご台車を強く引いたところ、かご台車が傾き、倒れてきたため、かご台車が背中の上に乗り、その重みで被災者の胸部が自らの足に押しつけられる形で圧迫され、呼吸ができなくなり窒息死に至ったと推測される。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | トラックの荷台にかご台車を乗せる際、被災者は荷の進行方向にいて、かご台車を強く引いたこと。 |
2 | 本来4tトラック用の荷受け口でないため、荷受け口とトラックの荷台に高低差があったこと。 |
3 | プラットホームの荷受け口とトラックの荷台の間に高低差があり、荷受け口と荷台の間に渡したコンパネに12度ほどの傾斜があったこと。 |
4 | かご車に積まれた荷の重量が約420kgあったため、倒れてきた際、自力で押さえきることが困難であったこと。 |
5 | コンパネを用いた作業に関し、その安全性について十分検討がなされていなかったこと。 |
6 | 安全衛生推進者等、安全衛生を担当する者が選任されていなかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 荷受け口とトラックの荷台の段差や隙間の有無を把握し、段差や隙間がある場合には、安全に積み込み作業ができるよう、設備的な対策を講じること。 |
2 | 一人で積み込むことが困難な重量物を積み込む際には、複数人で作業を行わせる等、重量物の積込みに関する方法について、貨物運送事業者に周知すること。 |
3 | 荷主と安全作業連絡書を取り交わす等により、安全対策について連携を図ること。 |
4 | 荷をトラックに積み込む際の安全な作業方法について、作業標準等を作成すること。 |
5 | 労働者に対し、作業標準等に基づく安全衛生教育を実施し、その徹底を図ること。 |
6 | 安全衛生推進者を選任すること。 |