高所作業車を使用して、大木の枝切り作業を行っていたところ、高所作業車が後方に転倒し、被災者が地面に激突したもの
業種 | 建設業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 乗物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業環境の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 危険な状態を作る |
No.101377
発生状況
クローラ式自走式高所作業車(最大作業床高さ約12m)を使用して高さ10m以上の大木の枝切り作業中、高所作業車が後方に転倒し、バスケットに乗っていた被災者が地面に激突し、搬送先の病院で、肺動脈損傷、転落外傷により死亡した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
[高所作業車の転倒原因] | |
1 | 高所作業車を設置していた場所は、地山をドラグ・シャベルにより掘削、整地して造った凸凹のある仮の通路であり、かつ、傾斜(進行方向右側6度、左側8度)もある不安定な場所であったこと。 |
2 | 高所作業車を水平かつ堅固な面の上にある状態とするため、敷鉄板等を敷き、その上に高所作業車を載せる必要があったが、この対策を講じていなかったため、地面が不同沈下したこと。 |
3 | 高所作業車を使用して作業を行っている間、高所作業車が水平面に対して3度以上傾斜していたことから、転倒のおそれがあることを警告する音を発していたにもかかわらず、高所作業車の使用を停止しなかったこと。 |
[間接原因] | |
1 | 高所作業車を用いて行う作業について、あらかじめ、当該作業に係る場所の状況等に適した作業計画を作成していなかったこと。 |
2 | 作業指揮者であった者が、被災者を高所作業車での枝切り作業に従事させるに際し、被災者が高所作業車の技能講習修了者であるか否かを修了証等で確認していなかったこと。 |
3 | 上記の結果として、無資格者の被災者を高所作業車の運転業務に就かせ、バスケット内で枝切り作業に従事させたこと。 |
4 | 作業指揮者は被災者に対し、「取扱説明書」、「安全マニュアル」等を示すことにより、高所作業車の操作による労働災害を防止するために必要な事項を通知していなかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 高所作業車は、水平かつ堅固な面の上に据え付けること。 |
2 | 高所作業車が転倒を警告する警報音を発したときは、即座にその使用を停止すること。 |
3 | 高所作業車を用いて作業を行うときは、予め、当該作業に係る場所の状況、当該高所作業車の種類及び能力等に適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わせること。 |
4 | 労働者を高所作業車の運転業務に就かせる場合は、有資格者であることを修了証等で確認すること。 |
5 | 高所作業車の運転業務を行う者に対しては、「取扱説明書」、「安全マニュアル」等を示すことにより、高所作業車の操作による労働災害を防止するため、必要な事項を通知すること。 |