大型土のうを、車載式小型移動式クレーンで掘削穴内に格納する作業中、作業半径の超過に伴う過荷重によりクレーンが転倒した
業種 | 建設業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 機械、装置等の指定外の使用 |
No.101368
発生状況
災害発生時、除染作業現場に掘削した地下保管用の穴に、汚染土を収納した大型土のうを、クレーンを用いて格納する作業が行われていた。 被災者を含む7名は、掘削した地下保管用の穴へ大型土のうをつり下ろす作業の準備として、ドラグ・シャベルの移動、クレーンの設置、アウトリガーの張り出し等を開始した。 準備作業終了後、1回目の作業として、4個ある土のうのうち1個を労働者Aが玉掛けを行い、労働者Bがクレーンでつり上げ、地下保管用の穴の中で、被災者が荷下ろし位置の確認を行いながら土のうを吊り下ろし、格納した。 次いで、2回目の土のうを、同様の手順で地下保管用の穴の中につり下ろすため、旋回し、ジブを伏せていったところ、突然クレーンが車体左方へ転倒した。 車体が転倒したことにより、土のうが一気に降下し、地下保管用の穴の中にいた被災者が、土のうと穴の床面に右足を挟まれ被災した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業時の使用条件では、定格荷重が約0.51tであったのに対し、重量約1.1tの大型土のうを吊っていたことから、過負荷状態での作業であったこと。 |
2 | 作業計画においては、「吊荷重量×作業半径」を「2t×4m」としていたが、実際に使用するクレーンの能力に基づいていなかったこと。 |
3 | 現場における実際の作業半径は6.85mであった。現場での作業半径の確認は、目視のみで行われていたため、作業計画に基づく作業が徹底されていなかったこと。 |
4 | 作業計画が、地下保管用の穴、大型土のうの格納位置及び重量、クレーンの能力及び設置可能範囲など、実際の作業に対応した内容になっていなかったこと。 |
5 | クレーン作業時に、吊り荷の直下に入る可能性のある、地下保管用の穴の中で作業をさせていたこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 定格総荷重表により、つり上げ可能な荷重の確認、荷重計等により、過負荷状態になっていないことを確認しながら作業すること。 |
2 | 作業計画に基づいた作業の履行を徹底すること。 |
3 | 現場の状況を踏まえ、実行可能な作業計画を作成すること。 |
4 | クレーン作業時、吊り荷等が接触することにより危険を及ぼすおそれのある範囲に労働者を立ち入らせないこと。 |