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労働災害事例

高齢者通所介護施設におけるトイレ介助の際、腰痛を発症した

高齢者通所介護施設におけるトイレ介助の際、腰痛を発症した
業種 社会福祉施設
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 起因物なし
災害の種類(事故の型) 動作の反動、無理な動作
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業方法の欠陥
発生要因(人) 職場的原因
発生要因(管理) その他及び不安全な行動のないもの

No.101352

発生状況

 被災者は、日頃より通所介護事業所(デイサービスセンター)にて、利用者の求めに応じ、トイレ誘導及びトイレ介助を行っていた。被災日も、車いすを使用している利用者のトイレ介助のため、車いすから利用者を抱きかかえ、トイレ便座への移動を介助しているとき、腰部に強い痛みが走った。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 トイレ誘導は、腰部に著しく負担がかかる介助であるにもかかわらず、スタンディングマシーン等の福祉用具を活用しなかったこと。

対策

 類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 介助にあたり、個々の介助作業(移乗、入浴、トイレ、おむつ交換、食事、移動等)毎に、利用者の状態、福祉用具の有無、介助作業の環境(広さ、配置)等に応じた作業標準を策定すること。尚、作業標準の策定については、厚生労働省による「介護作業者の腰痛予防チェックリスト」を参照のこと。
2 利用者が維持している機能はそれぞれ異なることから、先ず、立位保持、座位保持が可能かどうか、全介助が必要かどうかについて確認する。
3 頭部保持、及び手・腕の残存機能等を合わせて確認し、利用者には、可能な範囲で介助への協力をお願いする。
4 利用者の抱きかかえ等に伴う腰部負担の低減のため、利用者の残存機能に応じ、スタンディングマシーン、スライディングボード、スライディングシート、リフト等福祉用具を利用する。
5 利用者の心身の状態は日々変化するため、適用する作業標準は、利用者の状況により適宜見直すこと。
6 チェックリスト、作業標準及び利用者の心身の状態を勘案したリスクアセスメントを行うことにより、腰痛発生のリスクの低減を図ること。
7 労働安全衛生マネジメントシステムを通じ、よりリスクを低減することのできる方法を、介護施設の運営責任者が率先して取り組み、介助の改善を図ること。