被災者は、ウイングルーフトラックのシリンダー付近からの油漏れ点検作業を行っていたところ、降下してきたウイングに挟まれた
業種 | 貨物取扱業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | その他の不安全な行為 |
No.101349
発生状況
整備工場にて、ウイングルーフトラックの油漏れ箇所の特定を指示された被災者は、予め上げられていた左ウイングと荷台パネルの間から身を乗り出し、同僚に荷台後方にあるウイングを上下させる押しボタンの操作を依頼した。 被災者は、同僚にウイングの全開(上げの操作)から四分の一程度まで下げの操作を4〜5回行わせ、ウイングが全開する度に止めさせ、ウイング上下用シリンダーに通じている油圧ホースの接続部に油落とし用スプレーを1〜2秒噴射した後、同僚を持ち場に返した。尚、この時、ウイングは全開した状態であった。 数分後、整備工場の工場長が当該ウイングルーフトラックの前方へ行くと、ウイングが閉じて(下がって)おり、被災者がウイングと荷台前部のパネルの間に挟まれ、手足がだらんと下がり、呼びかけにも反応がなかった。また、油圧用の油が車両の側面に勢いよく噴出していた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 直接原因としては、ウイングを上げ、ウイングの下に入って修理作業を行うにあたり、安全支柱等を使用しなかったこと。 |
2 | 間接原因としては、以下の3点が挙げられる。(1)ウイングの油圧シリンダー用ホース接続金具が、油圧ポンプからのホースにウイング収納時(ウイングを閉じた状態)に常時接触しており、走行時の振動により接続金具がホースを損傷し、油圧用油が漏れ、シリンダーの油圧力が一気に抜けたと認められること。(2)ウイングの油圧シリンダー用ホース金具を取り外す、若しくは緩める作業を行ったと推定されること。(3)故障時は、「ウイングの油漏れ作業の特定のみを行う」という作業内容が徹底されていなかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ウイングを上げ、その下に入って作業を行う場合は、安全支柱等を使用すること。 |
2 | ウイングの点検において、ウイングを一部開閉させる場合は、必要以上にウイングが閉じないようにストッパーを使用すること。 |
3 | ウイングの油圧シリンダー用ホース接続金具が、ウイング収納時、他の部分に接触しないようにすること。 |
4 | 作業者に対し、ウイングの構造や点検作業に関する教育を行うこと。 |
5 | 車両系荷役運搬機械に相当するトラックの修理、又はアタッチメントの装着若しくは取外しの作業では、作業指揮者を指名し、以下の職務を行わせること。①作業手順を決定し、作業を直接指揮すること、②車両系荷役運搬機械等のフォーク、ショベル、アーム等が不意に降下することによる危険を防止するために、使用する安全支柱、安全ブロック等の使用状況を監視すること(参照:労働安全衛生規則第百五十一条の十五)。 |