NC旋盤を使用してねじ切削加工していたところ、回転による遠心力で突出したパイプが変形し、被災者の頭部に激突した
業種 | 製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 金属加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護措置・安全装置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 機械、装置等の指定外の使用 |
No.101345
発生状況
被災者が加工しようとしていた当該ステンレス製パイプの長さは253cmであった。そのため、被災者はNC旋盤の左側に取り付けられていたストッパーと呼称される治具を取り外し、本来ストッパーを具え付ける穴から当該パイプをNC旋盤機にセットした。 この時、被災者は当該パイプを先端から9.5cmの位置でチャックにより固定したため、当該パイプはNC旋盤機から116cm突出した状態であった。また、当該パイプは、NC旋盤機内のチャック1箇所のみで固定されていたため、NC旋盤機に対して完全に水平な状態ではなく、僅かではあるが下方に傾いていた。 被災者によりNC旋盤機が作動された後、当該パイプには高速で回転することによる遠心力がかかった結果、NC旋盤機から突出した部分が大きく折れ曲がって回転し、折れ曲がって回転する当該パイプが被災者の頭部に激突したこと。 尚、当該事業場では、通常NC旋盤機から「加工物が突出した」状態での加工作業は行われていなかった。一方、NC旋盤機には「危険:長い棒状の加工物をシリンダーの後ろに出して回転させないこと。これを怠ると、重大な障害事故になる恐れがある」と注意・警告表示がなされていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | NC旋盤から突出する長さ(長さ:2,350mm、直径:34mm、厚さ:3mm)のステンレスパイプの加工作業にNC旋盤を使用したこと。 |
2 | ステンレスパイプがNC旋盤から突出した部分に、労働者への接触を防ぐための覆い(安全カバー)、囲い等が設けられていなかったこと。 |
3 | 金属加工機械の危険性、有害性に関する安全衛生教育が不十分であったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | NC旋盤から突出する長さの金属加工物の加工に、NC旋盤を使用しないこと。 |
2 | 専用機械(バーフィーダー等)を使用すること。 |
3 | 加工物がNC旋盤から突出した部分に覆い(安全カバー)、囲い等を設け、労働者への接触を防ぐための措置を講ずること。 |
4 | 金属機械の危険性についてリスクアセスメントを実施する等、安全衛生教育を徹底すること。 |