ストラドルキャリヤーの運転席に座り、ターミナル内で待機していたところ、他のストラドルキャリヤーに激突され、衝撃で横転した
業種 | 貨物取扱業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 動力運搬機 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業環境の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 分類不能 |
No.101342
発生状況
災害発生の直前、「レーンに蔵置しているコンテナをピックし、トレーラーにコンテナを渡すように」との指示を受けた被災者は、運転するストラドルキャリヤーをレーンの前に移動させ、停車した。 一方、同じターミナル内において作業中であった本件の起因となったストラドルキャリヤーのオペレーター(運転作業員)は、運搬すべきコンテナを吊り上げ、ストラドルキャリヤーをバックで左旋回させた。 その際、吊り上げたコンテナは「タンクコンテナ」と呼称される液体入りの特殊なコンテナであったこと、また搬入レーンの周りに轍があり、ストラドルキャリヤーの移動の際タイヤが轍を踏み、ハンドルを取られてしまうことがないように気を使っていたことから、オペレーターは、ストラドルキャリヤーの進行方向とは逆方向にあったタンクコンテナを注視していた。 そのため、左旋回(後進)する途中で被災者が乗車するストラドルキャリヤーに気づき、急ブレーキをかけたが間に合わず、被災者が乗車するストラドルキャリヤーに側方から衝突した。衝突したストラドルキャリヤーは直ちに前進し、被衝突ストラドルキャリヤーから引き離されたが、被衝突ストラドルキャリヤーは、1、2回左右に傾いた後横転し、運転席が地面に激突した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ストラドルキャリヤーは、運転席が進行方向に対し横向きであり、他の車両系荷役運搬機械とは異なる特殊な構造となっている。災害発生時、起因となったストラドルキャリヤーは後進のため左旋回しており、通常の車両系荷役運搬機械の運転時以上に後方に注意を払うべきところ、起因となったストラドルキャリヤーのオペレーターが、十分な注意義務を果たさなかったこと。 |
2 | 災害発生現場であるコンテナターミナルでは、複数の事業場がそれぞれストラドルキャリヤーを使用しコンテナの運搬作業を行っている。しかし、ストラドルキャリヤーの大きさから当該コンテナターミナルの作業スペースは決して広いとはいえず、ストラドルキャリヤー同士の接触の危険が十分に予見できたにもかかわらず、当該作業場の環境・特性に応じた作業計画を作成していなかったこと。 |
3 | 混在作業であるにもかかわらず、異なる事業者に所属するオペレーター同士の連絡方法が明確にされていなかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ストラドルキャリヤーの運転時の注意を喚起するため、コンテナターミナル内に一旦停止の表示、運転速度の制限、及び運転経路の表示等を行い、その周知を徹底すること。 |
2 | 上記1も含め、作業場所の広さに応じた作業計画を策定し、その作業方法を関係労働者に周知すること。 |
3 | 異なる事業者に所属するストラドルキャリヤーのオペレーター同士の連絡方法を明確にし、関係労働者に周知すること。 |
4 | ストラドルキャリヤーは、フォークリフトの運転者の資格で運転することができるが、ストラドルキャリヤーの特異な構造や運転特性の理解が不可欠であるため、下記の通達(※注)に沿った安全衛生教育を実施すること。 (※注) ストラドルキャリヤーによる労働災害の防止について |