他の作業者にジェットガンを渡すため配管内を移動中、手にしていたジェットガンより高圧水が噴射され、被災者の大腿部を直撃した
業種 | 清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護措置・安全装置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101338
発生状況
被災者ともう一人の作業者は、集じん装置の配管内に堆積している粉じんを、配管に設けられたマンホールより高圧水を噴射するノズル(ジェットガン)を挿入し、この高圧水により堆積粉じんをブロック状、泥状に粉砕する作業を行っていた。 当初、作業者(高圧洗浄作業を行うことのできる産業洗浄技能士の資格保有者)は逆噴射ノズルを用い、マンホールから洗浄作業を行っていたが、堆積粉じんの除去が困難であったため、配管内に入り、配管奥から直射ノズルにて堆積粉じんを粉砕、排出することとし、先ず作業者が配管に入り、その後被災者よりジェットガンを渡してもらうこととした。 先に配管に入った作業者は、マンホールからやや離れた位置にある瓦礫上の堆積粉じんを前方に送り出す作業に取りかかった。続いて、ジェットガンを渡すため被災者が配管の奥まで入ってきた際、何かの理由により、被災者は自らの大腿部にジェットガンを誤射してしまった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 容易に誤射を惹起する可能性のある形状のジェットガンを使用させていたこと。また、ジェットガンに誤射を防止するための機能が備わっていなかったこと。 |
2 | 被災者から作業者へのジェットガンの受け渡し時は、ディーゼルエンジンからポンプへの動力を遮断するためのクラッチを切断するよう指示がなされていたものの、災害発生時にはこれが順守されておらず、ジェットガンのレバーを握ることにより高圧水を噴射できる待機状態にあったこと。 |
3 | 洗浄作業については、一般的な作業手順の概要は定められていたものの、タンク洗浄、配管洗浄、圧力容器の水管洗浄作業等、洗浄作業を類型化して、各々具体的な作業手順の策定がなされていなかったこと。 |
4 | 被災者は産業洗浄技能士の資格保持者ではなかったこともあり、高圧水の直射を前提とした保護衣を着用していなかったこと。 |
対策
類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ジェットガンに誤射防止装置を備え付けること。 |
2 | 洗浄作業を行っていない時は、常に水圧をオフにする(高圧ポンプのクラッチを切断しておく)こと。 |
3 | 中継ぎのバルブを設置するなど、容易に水圧をオフにすることができるように、配管やポンプユニットを構成すること。 |
4 | 洗浄作業に従事する者は、産業洗浄技能士の資格の有無を問わず(資格を有しておらず、単に補佐するだけの者であっても)、高圧水の直射に対する保護衣を着用すること。 |
5 | 洗浄対象物、及び周囲の状況を勘案した洗浄作業計画を策定すること。 |