ブタンタンクの開放検査工事中に火災が発生し、下請作業員が避難中に被災
業種 | 石油精製業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101337
発生状況
本災害は、石油精製工場の球形タンク(ブタン貯蔵用、内容量2,000トン)の開放検査(高圧ガス法に基づく法定検査)を実施するための準備作業中に発生した。 タンク内のガスを排出する作業の際に、余剰ガスをフレアースタック集合配管へ送るためのブローダウン配管について、閉止板を抜き取り、配管に付けられている弁をフランジ部から回転させてずらしたときに同配管からガスが流出した。 タンク内部で、ガス溶断作業を行うためガス溶断機のトーチに点火したところ、タンク内天井部及びタンク外上部の一部で火災が発生した。タンク内で作業していた下請事業者の労働者1名が避難途中に、落下してきた安全ブロック(重量約13.5kg)の直撃を受け、左鎖骨を骨折、左後部裂傷を負った。 |
原因
1 | ブローダウン配管に附設している弁及び閉止板を取り外してはいけないことが、作業現場において明瞭になっていなかったこと。また、閉止板を取り外すことにより、当該配管から危険物が流出するおそれがあることについて作業者が認識していなかったこと。 |
2 | 発注者、元請事業者及び下請事業場の間で、当日の作業における禁止作業が書面により明確になっていなかったこと。 |
3 | 工事発注者が、注意すべき事項、講じた安全確保措置、事故が発生した場合の応急措置について、元請事業場に書面で通知していなかったこと。 |
4 | 工事発注者側の許可及び立会いが必要となっていたにも拘わらず、当該工事の許可及び工事立会いを行うことなく作業を実施したこと。 |
対策
1 | 作業箇所に危険物等が流出しないようバルブを閉止し閉止板を施した場合は、関係労働者が誤って開放することがないよう対策を講じること。また、作業の必要性から閉止板を取り外す場合には、閉止板とバルブとの間に危険物がないことを確認すること。 | |
2 | 発注者、元請事業者及び下請事業場の3者間で、当日の作業における実施してはならない作業を書面により明確にすること。 | |
3 | 工事発注者は、作業を行うことができる条件を明示し、注意すべき事項、講じた安全確保措置、事故が発生した場合の応急措置について、元請事業場に書面により通知すること。 | |
4 | 工事発注者は発注者側として許可及び立会いが必要となる作業を明確にし、確実に履行すること。 | |
5 | ガスが流出するおそれのある作業を行う場合には、タンク内で溶断を行わないなど作業間の連携を適切に行うこと。また、タンク内の労働者に対しても緊急の連絡を適切に行うことができるよう、連絡手段を確立しておくこと。 |