NOx化合物が自己分解反応を起こし配管が破裂
業種 | 化学工業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 化学設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101336
発生状況
本災害は、ナフサを原料としてエチレン、プロピレン、水素、メタン等の化学製品原料を生産している石油化学工場において発生した。 エチレンプラントにある冷熱分解により水素を生産するコールドボックス(内部の容器をパーライトと窒素により封印されたもの)内において、水素分離機と熱交換器との間の配管が破裂し、コールドボックスが一部損傷した。 エチレンプラントは、脱ペンタン塔の清掃のため、原料供給を遮断してプラント内のバルブを閉めており、内部に原料を残した状態で停止させていた。 破裂した水素分離器と熱交換器との間の配管内部には、主に水素とメタンの混合ガスが入っていたが、微量のNOx(窒素酸化物)と炭化水素類(ブタジエン等)も存在していた。 |
原因
1 | 破裂が起きた原因は、配管内部に残留していたNOxと炭化水素類が反応して不安定なNOx化合物が生成され、さらに、運転停止状態であったために温度が上昇し、NOx化合物が自己分解反応を起こしたため、配管内の内圧が上昇したことによると推定される。 |
2 | 配管内のアセトン洗浄を省略して清掃作業を行ったこと。 |
対策
1 | プラントの運転を停止して点検や清掃作業を行う場合には、アセトン洗浄を実施し、配管内のNOxを確実に洗浄すること。 | |
2 | 保安検査を行う者に対して、NOxの危険性に関する知識を習得させるための教育を定期的に実施すること。 | |
3 | 運転を停止してプラント内の各種装置や配管の点検、清掃等を行う場合には、事前に当該作業における危険性又は有害性等の調査を行い、その結果に基づき、安全な作業方法を検討すること。また、安全な作業方法の検討に当たっては、保安検査を行う部署以外の安全衛生管理部署によるチェック体制を確立すること。 | |
4 | 決定した作業方法については、安易にその作業手順を省略することなく作業を行うこと。 |