シリコン工場の排水槽内で水素爆発
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101335
発生状況
本災害は、半導体の材料となる多結晶シリコンを製造している化学工場の排水槽において発生した。 事業場内の洗い場において、高純度シリコンの製造プラントで使用されている熱交換器のチューブ(表面積201m2)に付着したポリマーの洗浄作業を行った。 洗浄に使用された洗浄水を溜める排水槽(0.5m×0.5m×0.5m)に水酸化ナトリウム廃液を送水したところ、排水槽内で爆発が発生した。 水酸化ナトリウム廃液(アルカリ性)の送水により、排水槽の内槽に堆積していたポリマーの残渣物であるシリコシュウ酸の加水分解が加速し、水素の発生量が急激に増え、排水槽内に水素が充満したところ、シリコシュウ酸が発火し、水素に引火して爆発したものと推定される。 なお、この爆発での負傷者はいなかった。 |
原因
1 | 排水槽の内槽の側壁面に付着していた乾燥したシリコシュウ酸が、水酸化ナトリウム廃液を送水した際の振動でシリコシュウ酸同士の摩擦により発火し、排水槽内に充満した水素に引火し爆発したこと。 |
2 | 水酸化ナトリウム廃液の入替作業において、労働者が作業手順を逸脱して、酸性物質であるシリコシュウ酸が残留している排水槽に水酸化ナトリウム廃液の全量を送水したことにより、シリコシュウ酸の加水分解を加速させ、水素の発生量が急激に増えたこと。 |
3 | 排水槽におけるポリマー残渣物の処理基準がなかったこと。 |
4 | 労働者のポリマー残渣物に対する安全意識が希薄であったこと。 |
対策
1 | 排水槽で発生する水素ガス等を十分に廃棄できる構造とすること。 | |
2 | 水酸化ナトリウムの入替作業に係る設備及び作業手順を見直し、労働者に周知徹底を図ること。 | |
3 | ポリマー残渣物の処理基準を作成し、労働者に周知徹底を図ること。 | |
4 | ポリマー残渣物に対する安全意識を高揚させるための教育を実施すること。 |