体に付着したオキシ塩化リンが水と反応し発生した塩化水素ガスを吸引し中毒
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101333
発生状況
本災害は、染料の中間体を製造する化学工場において発生した。 被災者は染料の中間体を製造するため、N,N-ジエチルアニリンに滴下ポンプを用いてオキシ塩化リン(別名:塩化ホスホリル)を滴下していたところ、滴下ポンプ上部のホースが外れ、右大腿部を中心にオキシ塩化リンを体全体に被った。 被災者は防毒マスク及びゴーグルを外し、水道水を出して右手人差指で目を洗おうとしたところ、右手首に付着したオキシ塩化リンと水が反応し発生した塩化水素を吸引した。 また、被災者は体中にオキシ塩化リンが付着していることに危険を感じたため、水の張ってある浴槽に飛び込んだところ、体に付着したオキシ塩化リンと水が反応し発生した塩化水素をさらに吸引したものである。 |
原因
1 | 滴下ホースの劣化等により、外れやすい状況になっていたこと。 |
2 | ホースバンドに何らかの不具合があったこと。 |
3 | 滴下ポンプの出力を最大にしたことにより、滴下ホースとの接続部分に大きな負荷がかかったこと。 |
4 | 安全衛生教育を十分に行っておらず、被災者及び他の労働者が適切な対応をとることができなかったこと。 |
対策
1 | 使用する器具について点検・記録等を徹底し、定期的に交換すること。 | |
2 | ホースバンドを二重に取り付ける等、滴下ホースが外れないための措置を講ずること。 | |
3 | 作業手順書を作成し、当該作業に従事する労働者に周知徹底すること。 | |
4 | 使用する保護具を作業手順書等に明記すること。また、使用前・使用後の点検を行い、保守管理を行うこと。 | |
5 | 安全衛生教育を定期的に行い、作業手順及び安全衛生のために必要な事項等に関する教育を徹底すること。 | |
6 | 「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づき、リスクアセスメントを行い、安全衛生対策を実施する等によりリスクを低減すること。 |