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労働災害事例

化学工場の貯蔵タンクののぞき窓が破裂

化学工場の貯蔵タンクののぞき窓が破裂
業種 石油製品・石炭製品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 化学設備
災害の種類(事故の型) 破裂
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:6人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.101325

発生状況

 本災害は、化学工場の真空蒸留設備で2‐イソシアナトエチルメタクリートを蒸留した後、蒸留回収されなかった残渣をタンクから抜き取るための準備を行っていたところ、タンクののぞき窓が破裂したものである。
 災害発生の約3時間前に、温度約120℃の蒸気を残渣タンク外部のジャケットに通して20分程度残渣を加熱したことにより、残渣が重合反応を起こして反応ガス(二酸化炭素)が発生し、タンク内部の圧力が上昇してのぞき窓のガラスが圧力に耐えられず、破裂したものと推定される。
 のぞき窓のガラス片、タンク内部の残渣が飛散したため、1名が左手を負傷し、一緒に作業していた1名と救助に駆けつけた5名が発生した白煙により、目、のど等に異常を訴えた。

原因

1 加熱により自己重合反応を起こす物質を含有しているにもかかわらず、残渣の加熱を行ったこと。また、加熱後すぐに抜き取りを行わず、長時間放置したままにしていたこと。
2 残渣タンク内部の圧力上昇を防ぐための安全弁等の安全装置が取り付けられていなかったこと。
3 作業手順書に残渣の抜き取り作業時の加熱の手順が定められていなかったこと。
4 残渣タンク本体に温度計が設置されておらず、内部で発熱反応が進行していることを把握できなかったこと。

対策

1 加熱により自己重合反応を起こす物質を含有する残渣の抜き取り作業を行う場合には、過熱を行わない方法で作業を行うこと。
2 やむを得ず残渣の加熱を行う場合は、あらかじめ加熱温度、加熱時間等の作業手順を定め、作業手順に基づき作業を行わせること。
3 残渣タンク内部の温度を測定する温度計を設置し、発熱による内部温度の上昇が起こっていないか監視すること。
4 新規に受け入れる原料については、事前に熱分析等により発熱危険性を確認し、作業方法を決定すること。