塩酸タンクの上部天板が経年劣化し、作業員が転落死亡
業種 | 各種機械装置の組立、すえ付け事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101319
発生状況
本災害は、塩酸が入ったタンクの上部の天板上を移動していた際に発生したものである。 屋外に設置してある塩酸入タンクにつき、現状の架空式タンクを地震対策として地上付近に移設する工事で、切り回し配管の敷設作業の際、被災者Aは切断する茶色配管の切断位置を確認するよう指示を受け、茶色配管が接続している103タンクの東側ハシゴを使って同タンク天板部に登った。天板部にはマンホールがあり、茶色配管があるところまで天板上を歩いた時、天板が破れてタンク内に墜落した。この様子を近くの同僚の被災者Bが目撃し、天板部のマンホールの蓋に乗り、破孔部から救出しようとしたが、乗っていたマンホールの周囲の天板が破れ、Bもマンホールとともにタンク内に墜落した。タンク内の内容物はすぐには抜けず、救急隊が塩酸を希釈しながら内容物を排出し、事故発生から2時間半後に2名をタンクから救出したがすでに死亡していた。 |
原因
1 | 特定化学設備として管理せず、濃度35%塩酸を貯蔵してから内外部点検を一度も実施せず、天板部が作業員の重さに耐えられない程の劣化状況を把握していなかったこと。 |
2 | 天板部への梯子に、ストッパーや立入禁止の表示もなく、誰でも立入ることが出来る構造であり、作業前の打合わせも実施されていなかったこと。 |
3 | 濃度35%塩酸の貯蔵タンクにつき周知せず、事前に危険有害性調査が実施されなかったこと。 |
対策
1 | 特定化学設備として定期自主検査をして異常を認めた場合は必要な補修等を講じ、墜落の恐れや強度確認ができていない場所には、容易に立入れない措置を講じること。 | |
2 | 工事内容の危険有害性につき評価を実施し、事前に文書等で請負業者に交付すること。 | |
3 | 関係請負人に、危険有害性の情報に基づき具体的作業方法や必要な設備等について、事前に十分な打合せを実施し、文書で周知徹底を図ること。 | |
4 | 工事開始前に危険有害性の調査を行い、リスク低減措置を講じること。 |