鋼板を切断する金型が取り付けられていたダブルクランクプレスに挟まれた
業種 | 各種機械・同部分品製造修理業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | プレス機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護措置・安全装置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101302
発生状況
鋼板を切断する金型が取り付けられていた圧力能力200tf(1.96×106N)のダブルクランクプレスを用い、作業者(技能実習生、入社後約1か月)が金型右側を用い厚さ1.2mmの鋼板を菱形に加工するため金型に投入及び取り出す作業並びに当該プレス機械の起動操作、被災者(技能実習生、入社後約10か月)が金型左側を用い厚さ1.5mmの鋼板を台形に加工するため金型への投入及び取り出す作業、といった同一のプレス機械を用いて、2名で作業を行っていた。 作業者が加工のため当該プレス機械に背を向け両手操作式の起動スイッチを押し、振返ったところ、被災者が金型左側に頭部を挟まれていたもの。 当該機械には、両手操作式安全装置の他、光線式安全装置が設置されていたが、光線式安全装置については特定自主検査において「作動不能」と判定されて以降、修理等整備が行われておらず、有効な状態ではなかったことから、光線式安全装置が使用されていなかったものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 労働者1名が材料の供給及び当該プレス機械の起動、もう1名の労働者が別の材料の供給といった、当該プレス機械1台を用いて同時に鋼板のプレス加工(切断)作業を行わせていたが、当該プレス機械の起動作業を行わない労働者の身体の一部が当該プレス機械の危険限界に入らないための措置として取り付けられていた光線式安全装置が故障し、有効な状態でなかったことが明らかであったにも拘わらず、これについて放置し、整備(修理)等の必要な措置を講じていなかったこと。 |
2 | 労働者1名が材料の供給及び当該プレス機械の起動、もう1名の労働者が別の材料の供給といった、当該プレス機械1台を用いて同時に鋼板のプレス加工(切断)作業を行わせていたが、当該プレス機械の起動作業を行わない労働者の身体の一部が当該プレス機械の危険限界に入らないための措置として、当該プレス機械稼働(切断)時に当該プレス機械正面の作業台上に作業員がいないことを確認して作業するといった、労働者の注意に頼る形での安全対策であり、本質的な安全が確保されていないものであったこと。 |
3 | 当該プレス機械の作業を、技能実習中の技能実習生2名のみで行わせていたこと。 |
4 | 当該作業を行わせるための作業標準等が日本語で作成されており、日本語の理解ができない外国人技能実習生に対するものとして適切なものでなかったこと。 |
対策
同災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 労働者の身体の一部が当該プレス機械の危険限界に入らないための必要な措置として取り付けられていた安全装置について、有効な状態で使用できるよう点検及び整備を行うこと。 | |
2 | 機械、器具その他の設備による労働者の危険を防止するための措置は、労働者の注意等に依ることのない、本質的な安全が確保されるものとするため、機械及び作業手順についてリスクアセスメントを行うこと。 また、その結果に基づき、機械の本質安全化、現場の作業に対応した作業標準を作成する等、リスク低減措置を講ずること。 | |
3 | 技能実習生に作業を行わせるに当たっては、技能実習計画に基づき実習実施担当者の直接指揮の元で技能習得するといった、技能実習制度の趣旨に沿った適切なものとすること。 | |
4 | 技能実習生に行わせる作業に係る作業標準等については、当該技能実習生の母国語でも作成すること。 |