ジェットコンクリート車のミキサー内部のブレードを回転させて混合機内部に剥離剤を塗布していたところ、ミキサー内部に落下
業種 | 道路旅客運送業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 混合機 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護措置・安全装置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | その他の危険場所への接近 |
No.101295
発生状況
ジェットコンクリート車のオペレーターである被災者が、ジェットコンクリート車に搭載された地上から高さ2.33メートルの位置にあるミキサー内部のブレードを回転させながら混合機内部に向けてエアガンを使用して剥離剤を塗布していたところ、ミキサー内部に落下し、回転するブレードに巻き込まれ死亡した。 ジェットコンクリート車は、トラックに使用されるシャーシにコンクリートプラントが架装して製造された特注した特殊コンクリート車であった。ジェットコンクリート車は、車両に搭載されたミキサーで各バッチに材料を練り合わせてコンクリートを製造し、コンベアで外部へ排出していた。ミキサーは通常、ジェットコンクリート車の内部に格納されているが、車両の後方からジェットコンクリート車の外部へ出すことが可能となっていた。コンクリートの製造及び排出時にはミキサーを外部に出す必要はないものであったが、ミキサー使用後に内部に付着したコンクリート等を洗浄する際に、ミキサーを車両の外に出して作業を行っていた。ただし、洗浄作業の際には、誤作動による危険防止のために、車両の動力はすべて停止してから行うよう各オペレーターに対し指示していた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ジェットコンクリート車のミキサー上部の開口部に覆いを設ける等によりミキサー内部の撹拌用ブレードとの接触防止措置を講じていなかったにもかかわらず、ミキサーを車両の外部に出して剥離剤の塗布作業を行う際に、ブレードを回転させながら作業を行っていたこと。 |
2 | 地上からミキサー上部の開口部までの高さが2.33メートルあったにも関わらず、労働者が安全に作業できる作業床が設けられていなかったこと。 |
3 | 剥離剤の塗布作業に関する作業標準がなかったこと。 |
4 | ジェットコンクリート車のオペレーター業務について、作業指示は全て親事業者に委ねており、実態としては派遣労働契約であったにも関わらず、業務委託契約の形式を取っており、被災労働者の作業について、安全管理を行うべき責任の所在が不明確であったこと。 |
対策
同災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | ミキサーを動かす場合には、回転するミキサー内部のブレードに労働者の身体が巻き込まれることがないよう車両に格納した上で動かすことを原則とし、その周知徹底を再度図ること。 ただし、やむを得ずミキサーを車両外部に出して作業を行う場合には、回転するブレードに労働者の身体が巻き込まれることがないよう接触防止措置を講ずること。その際には、本質的安全の見地により、車両外部においては、ミキサーが開口した状態ではブレードが動かない、いわゆるインターロック式安全装置の導入を検討すること。 | |
2 | ミキサーを外部に出して作業を行わざるを得ない場合には、ミキサーの高さを考慮し、安全な作業ができるような作業床を設けること。 | |
3 | 作業方法については安易に各オペレーターの判断に委ねることなく、安全管理を行うべき事業主の責務として、安全対策を組み込んだ作業手順書を作成すると共に教育訓練を実施し、当該作業手順を各オペレーターに定着させること。 | |
4 | 契約の形式と実態が乖離し、各オペレーターの安全管理に関する責任の所在が不明確であることから、オペレーターに関する現行の契約形態を見直し、安全管理の主体を明確にした上で再発防止対策を講じること。 その際には、オペレーターに対する作業指示や機械の貸与の状況等の実態を鑑み、各オペレーターについては、親事業者の直庸労働者とした上で安全管理を行うことを検討すること。 |