天井クレーンを用いて鋼板を移動させる作業中、突然天井クレーンが走行し、鋼板と架台の間に挟まれ死亡
業種 | 鉄鋼業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 誤った動作 |
No.101294
発生状況
被災者は、平鋼切断ロボットによる加工が終了した鋼板12枚(1枚の重量570kg、寸法6m65cm×46cm×2.5cm)を2クラブ2フック式天井クレーン(つり上げ荷重10.3t+10.3t)を用いて仮置場に移動させる作業を行うため、当該鋼板の片側に玉掛けし、次にもう片側に玉掛けしようとしていたところ、天井クレーンが走行し、鋼板が天井クレーンに引きずられ、玉掛け作業を行っていた被災者が移動してきた鋼板とNC架台の間に挟まれた。 平鋼架台に積み上げた鋼板12枚を玉掛けし、天井クレーンを操作して仮置場に移す作業を行っていたものであるが、災害発生時にどのような運転操作を行っていたかについては、被災者は単独作業を行っていたため不明である。 クレーンに関して、フックの外れ止め装置、巻過防止装置に異常は認められなかった。 |
原因
本件災害に係る作業は被災者の単独作業であるため、被災者が玉掛け作業中に天井クレーンを走行させ、吊荷(鋼板)の下敷きになった瞬間を目撃した者はおらず、災害の原因は不明であるが、次のようなことが考えられる。 (1)被災者は災害発生前、天井走行クレーンを使用し、鋼板を仮置場へ移動させるため玉掛け作業を行おうとしていたこと、(2)被災者はコントローラーを胸部上に掛けたまま鋼板とNC架台の間に挟まれ、仰向けに倒れた状態で発見されたこと、(3)同僚が被災者を発見した時、被災者を挟んでいた鋼板の山が玉掛けした状態からほとんど崩れていなかったこと等により、被災者は、平鋼架台上で鋼板南側の玉掛けを完了し、次に鋼板北側の玉掛け作業を行おうとしていたところ、コントローラーの誤操作等によりクレーンが走行を開始し、鋼板北端部を軸に回転してきた鋼板とNC架台の間に被災者が挟まれたと推定される。 |
対策
同災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 長尺、重量物に係るクレーン作業、または、共づりを伴うクレーン作業においては複数名で作業を行うこと。また、玉掛け作業員とクレーン運転士は別に配置し、合図者を指名した上で作業を行うこと。 | |
2 | 本件災害に関し、リスクアセスメントを実施し、潜在化している危険性等を見つけ出し、当該リスクの低減を図ること。また、リスクアセスメントの結果を元に、現行の作業手順を見直し、関係労働者に再教育すること。 |