つり足場の組み立て中に崩壊し、墜落する
業種 | 造船業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物自体の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101290
発生状況
この災害は、船体ブロックのブラスト作業に使用するつり足場を組み立て中に、つりワイヤーを取り付けていたブラケットが過加重により変形し、つり足場が崩壊し、作業をしていた者が墜落したものである。 被災者の所属する事業場では、元方事業者から、造船所内で、足場を組み立てる工事を請け負っていた。 災害発生当日の作業は、船体ブロックのブラスト作業に使用するつり足場を組み立てるものであった。 組み立てる足場については、元方事業場の者から口頭とコンクリートの床面へのチョーク書きで説明がなされた。その後、これを基に足場の組立て等作業主任者(以下、「作業主任者」と言う。)を含む7人で作業に取りかかった。 作業は、まずは、粗組として、地上で、船体ブロックに引っかけるアングル材で作られたブラケットにつりワイヤーを取り付け、これに5段の足場板を取り付け、さらに、手すり材等の材料を足場板に番線で取り付けた。そして、これを移動式クレーンで船体ブロックに掛けた。 その後、つり足場の組み立てを3人が足場の上で、2人が船体ブロックの上から行っていた。 この時、地上で作業を行っていた被災者は、つり足場の4段目で作業を行っていた作業主任者から番線を持ってくるように言われ、船体ブロックの頂部からつり足場板の最上部に降りたところ、つり足場が崩壊し、約12m下に墜落した。 なお、つり足場上にいた他の3人は、手すり等に捕まり、また、安全帯を使用していたため、無事であった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ブラケットの強度が不足していたこと 本災害は、船体ブロックにつり足場を取り付けていたブラケットの部材が座屈したことにより発生したものであるが、このブラケットは、元方事業者の指示では、L字型に組んだアングルの上に斜めに補強のためのアングルを引っ張り材として取り付けることとなっていたが、補強のためのアングルを水平に取り付けられたアングルの下に斜めに取り付けたため、圧縮材となったため、強度が不足し、座屈してしまった。 |
2 | 被災者に安全帯を使用させず、また、作業主任者に必要な職務を行わせていなかったこと 災害発生時、被災者に安全帯の使用をさせていなかった。また、作業主任者に対しても、安全帯の使用状況の監視等の必要な職務を行わせていなかった。 |
3 | つり足場の架設計画が十分に伝わっていなかったこと つり足場の架設計画が、元方事業者から十分に伝わっていなかったことから、つり足場が計画通りの架設となっておらず、つり足場の強度が低下した。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | つり足場について、十分な強度を確保すること つり足場を設置するに当たっては、作業者数、積載物等作業中にかかる荷重を考慮し、十分に耐えうる構造にするとともに、構造、使用する材料等を記載した組み立て図を作成し、作業内容を作業に従事する労働者に確実に周知させる。 | |
2 | 安全帯の使用を徹底させること つり足場の組み立て作業においては、作業者に安全帯の使用を徹底させる。 また、作業主任者に対し、安全帯の使用状況の監視等の職務を確実に実施させる。 | |
3 | 安全衛生教育を実施すること 労働者に対し、作業の危険性、墜落防止措置、作業手順などについて、安全衛生教育を計画的に実施する。 |