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労働災害事例

鋼製型枠材をつり上げたところ隣の鋼製型枠材が倒れる

鋼製型枠材をつり上げたところ隣の鋼製型枠材が倒れる
業種 金属製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物)
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業方法の欠陥
発生要因(人) 職場的原因
発生要因(管理) 安全措置の不履行

No.101287

発生状況

 この災害は、天井クレーンで鋼製型枠材をつり上げたところ、隣り合わせに置いていた鋼製型枠材が倒れ、鋼製型枠材とローラーコンベアにはさまれたものである。
 被災者は、同僚と2人で、工場の入り口付近に仮置きされた鋼製型枠材を工場の奥へ移動させる作業を行っていた。移動させる鋼製型枠材は、L字型(高さ約120cm、長さ約400cm、幅約30cm)であり、2基ずつ並べておいてあった。
 作業は、鋼製型枠材を1基ずつ移動させるもので、被災者が無線操作式の天井クレーンを操作しながら、天井クレーンのフックに取り付けられた2本のワイヤーロープの一方を鋼製型枠材の片方の端のフックに取り付け、同僚がもう一方のワイヤーロープを鋼製型枠材の反対側の端のフックに取り付け、天井クレーンでつり上げ、工場の奥で降ろし、それぞれ、1カ所のフックを外すことを繰り返していた。
 そして、25基目の鋼製型枠材を少しつり上げたところ、隣り合わせに並べてあったつり上げない方の鋼製型枠材に接触したため、一旦、荷を降ろした。被災者は、2基の鋼製型枠材が底部で接触していると判断し、これらを引き離すために角材を取りに行こうとして、つり上げなかった方の鋼製型枠材とローラーコンベアの間を通ったとき、鋼製型枠材が倒れ、これとローラーコンベアにはさまれた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  荷同士が接触していたこと
 倒れた方の鋼製型枠材の端がつり上げようとした鋼製型枠材に乗り上げた状態となっていた。このため、一方の鋼製型枠材をつり上げたとき、揺れて転倒した。
2  不安定な状態にあった鋼製型枠材の横を通ったこと
 倒れた方の鋼製型枠材は、不安定な状態であったが、その横を被災者が通ってしまった。
3  転倒防止措置を行っていなかったこと
 鋼製型枠材は、高さや長さに対して幅が狭く、安定が悪いにもかかわらず、転倒防止措置は何らなされていなかった。
4  作業方法が定められていなかったこと
 作業方法について、具体的な指示はなく、被災者らの判断で作業を行っていた。
5  安全教育が不十分であったこと
 被災者は、約1週間前に他の部署から移ってきたところであるが、その際に安全に関する教育は行われていなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  転倒防止措置を行うこと
 荷を置くときは、不安定な状態とならないよう適切な転倒防止措置を行う。また、不安定な状態で転倒の恐れのある箇所へは立ち入らせない。
2  作業方法を定めること
 事前に鋼製型枠材の移動方法を定め、これに基づき作業を行わせる。
3  十分な安全教育を行うこと
 作業内容を変更したときは、作業の危険性や作業手順などについて、十分に安全教育を行う。また、その後も計画的に教育を行う。