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労働災害事例

トラクターショベルでダンプトラックを牽引していたところフックが外れ、運転者を直撃する

トラクターショベルでダンプトラックを牽引していたところフックが外れ、運転者を直撃する
業種 畜産業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) トラック
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業方法の欠陥
発生要因(人) 職場的原因
発生要因(管理) 危険な状態を作る

No.101282

発生状況

 この災害は、脱輪したダンプトラックをフックの付いているワイヤーロープを使用してトラクターショベルで牽引していたところ、トラックのバンパーに引っ掛けていたフックが外れ、トラクターショベルを運転していた被災者の顔面を直撃したものである。
 被災者は、牛舎堆肥場に積まれている糞をトラクターショベルを用いてダンプトラックに積み込み、近くの畑の堆肥場まで運び、そこで、下ろすという作業を繰り返し行っていた。そして、数回目にダンプトラックで畑に向かったところ、ダンプトラックの左後輪が道路わきの低くなったところに脱輪し、動けなくなった。
 そこで、被災者は、トラクターショベルでダンプトラックを牽引することとし、牛舎に戻り、同僚に声をかけ、手伝ってもらうことにした。
 被災者は、同僚とともに脱輪現場に戻り、トラクターショベルの後部をダンプトラックの前部に向けて止めた。そこで、ワイヤーロープの一方のアイの部分をトラクターショベルの後部にあるワイヤーを掛ける部分に掛け、もう一方のアイの部分をダンプトラックの前のバンパーに取り付けてあったフックに掛けた。
 そして、ダンプトラックに同僚が、トラクターショベルに被災者が乗り込み、それぞれが前進させることにより脱出させることを試みていたところ、ダンプトラックに取り付けられていたフックがワイヤーロープの張力によりボルトごと外れ、後方の様子を見ながらトラクターショベルを運転していた被災者の顔面を直撃した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  作業方法が不適切であったこと
 作業は、経験の浅い被災者が作業方法を単独で検討し、ダンプトラックのバンパーに取り付けられたフックにワイヤーロープを取り付けて牽引しようとしたが、フックを取り付けていたボルトが、破損し、フックが外れ、被災者の顔面に当たってしまった。
2  必要な資格を有していない者にトラクターショベルの運転をさせたこと
 被災者は、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転用技能講習を修了していないにも関わらず、トラクターショベルの運転をさせてしまった。
3  ダンプトラックやトラクターショベルについて、点検等がなされていなかったこと
 ダンプトラックについては、車検や日常点検などが行われておらず、トラクターショベルについても特定自主検査などが行われていなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  適切な作業方法を検討すること
 牽引作業のような当初から予定のない危険性を伴う作業を行うに当たっては、使用する機械や工具の選定など作業内容にあった方法を検討する。また、経験の浅い者にはさせる作業内容について十分に配慮する。
2  資格のない者に作業をさせないこと
 トラクターショベルの運転は、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転用技能講習を修了した者に実施させる。
3  点検を確実に実施すること
 特定自主検査などの点検を確実に実施する。
4  安全教育を実施すること
 雇い入れ時の教育などを計画的に実施する。