魚介類等の冷凍保管庫においてフォークリフトで荷の搬出作業中、荷が崩壊
業種 | 卸売業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 荷姿の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101264
発生状況
この災害は、冷凍保管庫において荷をフォークリフトで搬出する作業中に、「はい」の荷が崩壊したものである。 当日、魚介類等の卸・小売をしている会社の被災者は、冷凍保管庫内において注文のあった荷をパレット(2.1m×1m×10cmの木製)ごと「はい」からフォークリフト(最大荷重1.7t、最大揚程は5.6m)で降ろし、それをいったん冷凍庫の外に運んで注文のあった製品を取り出し、残りを再び冷凍庫に入れる作業に従事していた。 その作業の途中、被災者が冷凍保管庫内で一時フォークリフトを降りてフォークに載せた荷の確認をしていたところ、突然、周囲の「はい」の一部が崩壊してきたため、その下敷きとなった。 「はい」は、約15kgの冷凍魚が入っているパレット(冷凍魚が入っている箱を5箱並べ、これを1層として10層積んだものの外周をビニールラップで固定したものを1段と称している)を数段積み重ねたものとなっており、1段の高さは約1.7mで、災害発生時に被災者がフォークに載せていた荷は4段であった。 また、パレットには、上に積まれた箱が傾くことなどを防止するため、周囲に鋼管製の支柱枠が取り付けられていた。 被災者の冷凍保管庫内での作業経験は5か月であったが、フォークリフトの運転資格は有しておらず、また、この会社にはフォークリフトが4台あったのに資格を有する者が1名しか居なかったため、日常的に無資格者が運転をしていた。 なお、被災者は、上下防寒着、長靴を着用していたが保護帽は着用していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 無資格者にフォークリフトの運転をさせたこと 最大荷重(フォークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重)が1t以上のフォークリフトの運転は、フォークリフト運転技能講習を修了した者でなければ従事させてはならないのに、無資格者に運転をさせた。 |
2 | 「はい」の状況の確認を行っていなかったこと この作業では、「はい崩し」等の作業が伴うので、常に「はい」の状況を確認し、危険を感じた場合には速やかにその是正又は避難をする必要があったのに怠っていた。 |
3 | 「はい崩し」作業の手順等の教育を実施していなかったこと 会社は、フォークリフトの運転者に対して、「はい付け」、「はい崩し」の作業手順、「はい」の崩壊による危険防止措置等について安全衛生教育を実施していなかった。 |
4 | 作業場所の照度が不足していたこと 作業場所の照度が不足していたため、「はい」の状況の確認、フォークリフトに積んだ荷の確認が十分にできなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | フォークリフトの運転は有資格者に行わせること 最大荷重(フォークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重)が1t以上のフォークリフトの運転は、必ずフォークリフト運転技能講習を修了した者に行わせる。(安衛法第61条、令第20条第11号) |
|
2 | 「はい」作業主任者の選任等を行うこと 荷役機械の運転者のみによって行われる「はい付け」、「はい崩し」の作業については、法令上「はい作業主任者」の選任は義務づけられていないが、「はい」の高さが高く、「はい付け」、「はい崩し」の作業が頻繁に行われる会社では「はい作業主任者」の技能講習を修了した者を養成し、作業方法の決定、作業場所の巡回、運転者の指導等を行わせることが望ましい。(参考: 安衛則第428、429条) |
|
3 | 安全衛生教育を実施すること 会社は、冷凍保管庫での製品の積み下ろし等の作業を行う作業者に対して、作業開始前における「はい」の状況の確認、作業の手順、「はい」の崩壊防止措置等についてあらかじめ安全衛生教育を実施する。(安衛法第59条、安衛則第432条) |
|
4 | 一定の照度を確保すること 「はい付け」、「はい崩し」の作業が安全に行える照度を確保する。(安衛則第434条) |