ホイストにつり下げた荷物用エレベーターに搭乗していたところ、搬器が外れて落下
業種 | ガラス・同製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | エレベータ、リフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 欠陥のある機械、装置、工具、用具等を用いる |
No.101261
発生状況
この災害は、ホイストにつり下げられていた荷物用エレベーターに搭乗していたところ、搬器がつり具から外れて落下し、搬器とともに搭乗者も落下したものである。 この事業場は、生コンクリートを製造しており、その方法はバッチャープラントでセメント、砂、骨材、粉末の混和剤及び水を混ぜて行うが、粉末混和材以外の投入は事務所において遠隔操作で行い、粉末混和剤はバッチャープラント建屋の4階にある投入口から人力で投入する方式となっている。 粉末混和剤(一袋20kg)は、通常バッチャープラント建屋の中の保管場所に保管されているが、投入場所である4階には建屋に設置してあるエレベーターで運搬する。 このエレベーターは、荷物用であり、構造は建屋の梁にホイスト(定格荷重は1.0t)を取り付け、そのワイヤロープに外れ止めの無いフックを介して搬器(床面積は1.495m2)をつり下げたもので、搬器はガイドレールに沿って昇降するようになっている。なお、搬器は、床及び縦枠、上枠で構成されているが、周囲の囲い、天井は設けられていない。 エレベーターの運転は、各階に設けられた「上、停止、下」の押しボタンスイッチで行われ、巻き過ぎ防止装置(リミットスイッチ)である上限スイッチは正常に作動していたものの、下限スイッチについては製品であるコンクリートの塊が堆積していて機能は失われていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | つり具のフックに外れ止めがなかったこと このエレベーターは、ホイストと搬器の接続を外れ止めがないフックを介しただけのものであったため、搬器の揺れや衝撃などによってつり具から外れる危険性があった。 |
2 | 搭乗禁止のエレベーターに搭乗したこと このエレベーターは、搬器の周囲や天井に囲いがないなど構造的にも作業者が搭乗してはいけないもので、会社から搭乗が禁止されていたのに作業者は自己判断で荷とともに搬器に搭乗した。 また、作業者に対してエレベーターの取り扱い要領を周知徹底していなかった。 |
3 | 定期自主検査と必要な補修等を行っていなかったこと このエレベーターは、積載荷重が0.25t以上1t未満のものであるが、定期自主検査を行う必要があったのに実施していなかった。 そのため、下限リミットスイッチにコンクリート塊が堆積して作動不良となり、搬器が昇降路の床面にまで下降した。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 巻上用ワイヤロープと搬器との連結を確実に行うこと 巻上用ワイヤロープと搬器、カウンターウエイト等との連結は、一本ごとに合金詰めソケット止め又はコッタ―止めにより緊結する。(エレベーター構造規格第29条) |
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2 | 構造規格に適合するエレベーターとすること エレベーターには、搬器又は昇降路のすべての出入り口の戸が閉じていない場合は搬器を昇降させることができない装置、搬器の速度が定格速度の1.3倍に達する前に動力を自動的に遮断する装置、巻き上げ用ワイヤロープが切れた場合において搬器の降下を自動的に静止する装置、搬器が昇降路の頂部若しくは梁又は底部に衝突することを防止するための制御及び静止する措置等の安全装置を備える。(エレベーター構造規格第30条) |
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3 | 定期自主検査を確実に実施し必要な補修等を行うこと 定期自主検査(1年ごと及び1月ごと)を確実に実施し、異常を認めたときは直ちに補修する。定期自主検査の結果は記録し、それを3年間保存する。(クレーン則第154条〜第158条) |
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4 | 作業者に安全衛生教育を行うこと エレベーターを操作する者を指名するとともに、使用にともなう危険性、異常時の連絡要領等についてあらかじめ安全衛生教育を行う。 |