有機溶剤を使用する反応釜に、ビニール袋を落とし、それを取出すため釜内に入った作業者が、トルエンを吸入し中毒
業種 | 医薬品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他保護具を指定していない | |||||
発生要因(人) | 近道反応 | |||||
発生要因(管理) | 危険物が入っているものの |
No.101258
発生状況
医薬品原料である「塩酸ピルジカイニド」の中間体を製造する反応釜(直径2.5m、深さ3mの円筒形、上下球形鏡板)にビニール袋を落としそれを取出すため釜内に入った作業者が、トルエンを吸入し中毒したものである。 災害発生日午前中、[1]反応釜内のトルエンの混った粗ピルジカイニドを撹拌 [2]窒素を注入・加圧し、配管から遠心分離器に圧送 [3]遠心分離器により分離した固体分・粗ピルジカイニド(トルエンで湿ったスラッジ状のもの)を内側にビニール袋を付けたファイバードラム缶(1本50kg、10本)に充填した。 午後、[1]作業指揮者Aが、フォークリフトで、粗ピルジカイニド入りドラム缶を作業床(2階)に揚げた。[2]Aと被災者Bの2名(両名とも直結式小型防毒マスク着用)で、反応釜のマンホール(直径40cm、作業床上70cm)より粗ピルジカイニドを投入。[3]投入の際、ビニール袋を手で保持していたが、手での保持が外れ、スラッジと一緒にビニール袋が反応釜に落ちた。[4]Aは、反応釜内のビニール袋を取り除く準備に、一旦その場を離れた。 Bは、終業時間が迫っていることもあり、マンホールから縄はしごを取り付け、反応釜内に入り、ビニール袋をスラッジから引き抜こうとしたが、取り出せなかった模様である。 準備作業を終えたAが反応釜をのぞいたときは、Bは縄はしごを上ろうとしていたが、底に落下した。Aは、エアラインマスク(送気マスク)を装着した救援者を呼び、Bを引き上げ救出した。 ※スラッジ:タンク内の油分・さびなどの沈殿物 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 反応釜の中は高濃度のトルエン蒸気が存在していたにもかかわらず直結式小型防毒マスクを装着して、その内部に立入ったこと。 |
2 | 反応釜に立ち入る前に、本作業の指揮者が、「有機溶剤を使用するタンク(釜)内作業」の作業方法を決定、作業を指揮していなかったこと。 |
3 | 監視人がいない状態で、作業者が1人で釜内に入ったこと。 |
4 | 「有機溶剤を使用するタンク(釜)内作業」における安全衛生を盛り込んだ標準作業方法が決められていなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||||||
1 | 有機溶剤を使用するタンク(釜)内作業では、釜内に立ち入る作業者には命綱を付けさせ、エアライン送気マスク又は空気ボンベを使用させるとともに、監視人を配置し、釜外(マンホール等)より作業を監視し、異常があったら直ちに救出できる体制で行うこと。 なお、直結式小型防毒マスクの使用は、低濃度トルエンの作業環境で一定時間(マスクによって決められた性能を維持できる時間・破過時間)内は有効で、臨時・短時間の作業に限り認められているが、有機溶剤を使用するタンク(釜)内作業では使用しないこと。 |
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2 | 「有機溶剤を使用するタンク(釜)内作業」の安全衛生標準作業方法を定め、関係作業者に周知しておくこと。 | |||||
3 |
根本的対策としては、有機溶剤を使用する反応釜内に立ち入らないことであるが、そのためには、
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