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労働災害事例

ガスレンジの不完全燃焼で一酸化炭素中毒

ガスレンジの不完全燃焼で一酸化炭素中毒
業種 飲食店
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の装置、設備
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 防護・安全装置が不完全
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) その他

No.101256

発生状況

 食堂で営業時間終了後、被災者1人で調理場においてスープを加熱調理していた。換気装置は、排気ファン及びそれに連結されたフード2個であったが、夜間のため22時30分に止めていた。
 被災者は、22時30分頃よりガスレンジに平底円筒形スープ鍋(直径60cm、高さ58cm)をかけて調理し、時々それを監視しながら、下ごしらえ等の作業を行っていた。
 翌朝、被災者が調理場で倒れているのが発見された状態では、調理場は煙が充満し、ガスレンジの1つは燃焼しており、スープ鍋がかけられていた。鍋の状態は、中身のスープが蒸発し残り数cmであり、円筒形鍋の上部は楕円状に変形、底部は凹凸変形していた。これらの状況を考えるとガスレンジの不完全燃焼により発生した一酸化炭素中毒により死亡したものと考えられる。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  ガスレンジに径の大きい鍋(直径60cm)をかけて調理したため、不完全燃焼が起ったこと。また、鍋の底部が凹凸変形していたため空気の乱れにより、さらに不完全燃焼が起こりやすかったことも考えられる。
2  作業者に、ガスレンジで大きな直径の鍋を使用する場合の注意事項(直径45cm以上の鍋は、不完全燃焼し易いこと、及び換気装置で十分換気されているとき以外は使用禁止等)が、周知されていなかったこと。
3  ガスレンジの使用が、1人での下ごしらえ作業との並行作業であり、かつ、一酸化炭素検知警報装置が設置されていなかったため、一酸化炭素発生に気づかなかったこと。
4  換気装置は、夜間は止めていたため、一酸化炭素が調理場に滞留したこと。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  調理場でガスレンジなど火気を用いる場合には、外気を取り入れる給気と燃焼ガス等の排出を行う給排気換気装置を設置し、稼働させておくこと。
2  給排気換気装置は、燃焼ガスの発生量等に対し十分な性能を有するものを設置しておくこと。
3  ガスレンジ取扱説明書に「使用鍋は、直径44cm以下のものを使用、直径45cm以上の大鍋を使用するときは十分な換気を行うこと」を明記し、このことを作業者に周知しておくこと。
4  一酸化炭素検知警報装置を設置すること。
5  関係作業者に対し、不完全燃焼及び不完全燃焼より発生する一酸化炭素による中毒の危険性と、一酸化炭素中毒に対する予防措置などを十分に教育しておくこと。
5  ガスレンジによる火気調理作業は、給排気換気装置が作動し、複数の作業者がいる時間帯に行うようにすること。