廃棄物処理工場でプラスチックを破砕中、粉じん爆発
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の材料 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.101254
発生状況
この災害は、廃棄物処理施設において情報機器の破砕、リサイクル品の分別作業をしていたところ破砕機付近で突然爆発し、爆風により複数の作業者が被災したものである。 この事業場は、パソコン等の事務機器のリユース及びリサイクルを行っているものである。リサイクルする物については、部品として使用するものと破砕するものを分別し、破砕するものは破砕機で破砕し、破砕物から金属等の分別も行うものである。 はじめに荒く砕く1次破砕機と、より細かく砕く2次破砕機の破砕工程では、各1台の破砕機が設置されている。災害発生の日、午前8時の始業から2時間程経った時、2次破砕機で最初の爆発が発生し、直近の集じんダクト内を火炎等が伝播し集じん機が爆発した。 工場内作業者は、安全靴、保護帽等を着用していたが、静電気帯電防止型の作業着、安全靴ではなかった。 破砕機や集じん機には、爆発を防止するものは特段設置されていないが、破砕空間には点火源となり得るモーターなどの電気機械器具は設置されていない。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 2次破砕機に滞留する廃棄物が多く、粉じん濃度が爆発下限界濃度を上回ったこと。その状態に次記2又は3(又はその両方)が着火源となったものと考えられる。 コンベアの搬送速度等との関係で2次破砕機への投入量が多く、滞留時間が長いことから、結果的に粉じん濃度が高まることになった。また、2次破砕機内部を集じんするダクトが破砕箇所から離れており、破砕箇所で発生した粉じんを完全に吸引できていなかったことも重なり、粉じん濃度が爆発下限界濃度を上回った。 |
2 | 2次破砕機が火花を生じやすい構造であり、また、火花を生じやすい部品を投入したこと。 2次破砕機の回転数が280rpmと高速であり、100rpm以上のいわゆる高速回転に属する破砕機で火花が生じやすい構造であるにもかかわらず、破砕刃と火花を生じるおそれのあるデスクトップパソコンのケースと付属部品等を投入していた。 |
3 | プラスチックなどの破砕粉及びトナー粉などの爆発に対する措置がなされていなかったこと。 設置されている破砕機及び集じん機には爆発放散設備などの安全装置がなく、作業者に対しても、静電気を防止するための帯電防止作業服などを着用させていなかった。 |
4 | 事故情報が生かされなかったこと。 今回の爆発が発生する直前に自社他工場において集じん機で小爆発が発生していたにもかかわらず、原因究明が不十分であったために生かされなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | コピー機のように内部に大量の粉じんが滞留している物を破砕機に投入すると粉じん濃度が高まり、爆発の危険性が高まるため、投入間隔及び投入量を減らし、粉じん濃度が爆発下限界濃度を超えないよう管理すること。また、破砕箇所で発生した粉じんを効率的に集じんするための換気量を確保すること。 | |
2 | 2次破砕機の回転数を減らすことで火花の発生を抑え、火花が発生した場合に備え、自動爆発抑制装置(爆発の発生を探知し、消火剤の噴射によって爆発の進展を抑制する装置)や爆発圧力放散設備(放散用ダクト)を設置すること。また、火花を生じやすい部品を事前に把握し、投入前に分別しておくこと。 | |
3 | 産業廃棄物であるコピー機等を構成する部品材料の危険性及び有害性の把握に努め、その情報に基づきリスクアセスメントを実施すること。 | |
4 | 同種災害の事例を収集し、同種の災害が発生するおそれのあるときは、原因を究明し、粉じん濃度の抑制、自動爆発抑制装置等の設置を検討すること。 |