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労働災害事例

伐採現場で立木を伐倒したとき、かかり木になっていた根腐れした立木が、退避していた被災者の方向に倒れてきて直撃

伐採現場で立木を伐倒したとき、かかり木になっていた根腐れした立木が、退避していた被災者の方向に倒れてきて直撃
業種 木材伐出業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 立木等
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 作業環境の欠陥(部外の)
発生要因(人) 錯誤など
発生要因(管理) 確認しないで次の動作をする

No.101248

発生状況

 この災害は、パルプ材の伐採現場においてチェーンソーで立木の伐倒及び玉切り(伐倒木を枝払いし、樹幹の大小、曲がり等を見極め用途に応じて定められた長さに切り丸太にすること)を行っていた被災者が立木Aを伐倒したとき、これとかかり木になっていた根腐れした立木Bが被災者の退避方角に倒れてきて直撃したものである。
 この伐採現場では、被災者と事業主の2名がそれぞれ立木の伐倒及び玉切りと林内作業車により伐木の集材と運材を行っていた。
 災害発生当日の午後、事業主が前日までに伐倒した伐木を林内作業車で搬出するため伐採現場を約1時間離れたあと、伐採現場に戻ると被災者が立木Bの倒木(高さ約14m、根元周囲約1.3m)の先端で下敷きになっていた。至急、救急車で病院に搬送したが死亡した。
 被災者が倒れていた場所から1.8mのところに自生している立木Aは、二股に分かれており、1本(立木C)が伐倒され玉切りされ、もう1本(立木A)は伐倒された状態であった。このことから立木Aを伐倒後に被災したものと推定される。なお、チェーンソーは、そこから3.7m谷川に落ちて停止していた。また、被災者の保護帽は倒れていた場所から6.3m谷川に落ちており上部に8cmの亀裂があった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  被災者を直撃した立木Bは、被災者が伐倒した立木Aと上部で枝条または蔓が絡んでいた。さらに根腐れを起しており、わずかな力で倒れる状態であったこと。
2  被災者は、立木Aの切り株から山側に1.8m上ったところ(垂直距離で約1m)に倒れていたことを考えると、伐倒直前に倒れた立木Bの下方側面側に退避したと思われるが、その立木Bも立木Aに引きずられて倒れる際に別の立木に当って方角が変って被災者側に倒れてきたものと思われる(別の立木に擦れた跡があった。)。
3  立木の伐倒時に枝条等で作業中に危険を生ずるおそれのあるものの確認、取り除きが不十分であったこと。特に伐倒直前の確認等が不十分であったこと。
4  伐倒予定木の周囲にあるかかり木等の処理を事前に適正に実施していなかったこと。
5  被災者の作業の経験年数は30年であったが、チェーンソーによる伐木作業についての正規の安全衛生教育を受けておらず、伐倒前後のかかり木等周囲の状況への対応が不十分であったこと。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  伐木の作業を行うときは、かん木、枝条、蔓、浮石等で伐倒の際その他作業中に危険の生ずるおそれのあるものを取り除くこと。
2  伐倒の際に退避する場所を、あらかじめ、選定すること。
3  伐倒直前には、伐倒方向、周囲の状況、退避場所の再確認等最善の注意を払うこと。
4  伐採作業の経験だけで十分な知識・技能を有していると考えずに正規の安全衛生特別教育を行うこと。