可搬式グラインダーに規格外のと石を取付けて試運転をしていたとき、と石が破裂し近くの作業者にあたり負傷
業種 | 非鉄金属鋳物業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 研削盤、バフ盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.101246
発生状況
この災害は、ステンレス鋳物のバリ取り、仕上げ用の空圧駆動の手持ち形グラインダーに新たに研削と石を取付け、試運転を行っていたが、と石の回転に異音が発生したためにスイッチを切ったとたんに、と石が破裂し、破片が近くで研削作業をしていた作業者の顔面を直撃し、負傷したものである。 なお、このグラインダーは、本来、直径150mmの研削と石に対応するものであったが、150mmの研削と石では鋳物のフランジのノズルネックを研削する際にグラインダーの本体がフランジに接触して作業が困難であり、205mmの研削と石を取付けていた。 災害は、ステンレス製のバルブ、ポンプの鋳物を製造する工場の鋳物のバリ取り、仕上げ研削工程で発生したもので、当日は被災者を含む5名で研削作業を行っていた。 被災者は、始業とともに研削作業を開始した。一方、同僚のAは研削開始にあたり研削と石の取替えを行い、試運転を開始した。1分位経過した時にと石に「ガタツキ」が発生したのでスイッチを切った瞬間、と石が破裂し3等分に飛散した。その一部が衝立にあたりバウンドしてAから約2メートルのところで作業していた被災者を直撃し、負傷したものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | グラインダーに規格外のと石車を取り付けたこと。 |
2 | と石の覆いは150mm用であるために取付けていなかったこと。 |
3 | グラインダーの無負荷回転数は、6,300rpmであり、使用していた研削と石の最高使用周速度は毎秒50m/sである。したがって、直径205mmの研削と石の周速度は67.6m/sとなり、最高使用周速度を大きく上回っていたこと。 |
4 | グラインダー本体については、調速器、取付けフランジ、ラベルなどの異常について定期的に保守点検を行っていなかったこと。 |
5 | と石の取付け部のフランジが150mm用であったことから回転中のと石に異常な振動、応力等が加わり、さらに過剰な回転数によると石への大きな遠心力による内部応力と相まって破裂に至ったと推定される。 |
6 | 作業者Aは、と石取替えの特別教育を修了しておらず、研削と石の危険についての認識は欠如していた。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||||||||||
1 | グラインダーに使用可能な最大限の研削と石の寸法が表示されているので、この範囲内のものを使用すること。 | |||||||||
2 | と石取付け部のフランジについては、と石の寸法、形状に適合したものとすること。 | |||||||||
3 | 研削と石の最高使用周速度は安全上絶対順守すべきものであり、これを超えて使用しないこと。 | |||||||||
4 | 研削と石には覆いを取付けて使用すること。特に覆いについては、材料、防護箇所、厚さ、形状等について研削盤構造規格に適合したものを取付けること。 | |||||||||
5 | 研削と石の取替えについては、特別教育を修了した者に概観検査、打音検査及び試運転を行わせること。試運転については、次の点に留意する。
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6 | 定期的に保守点検を実施すること。 |