作業用の照明に製作中の受変電設備内に設けられているサービス用照明を利用して感電
業種 | その他の電気機械器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の電気設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 照明の不適当 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.101245
発生状況
この災害は、高圧変電設備(以下「キューピクル」という。)の製作中に作業者が露出した電路に接触し、死亡したものである。 この事業場は、配電盤や制御盤の設計・製作を行っているもので、当日、被災者は、責任者として数名の部下とともにキューピクルの製作に従事していた。キューピクル内に部品の取り付けを行うに際し、手元が暗かったため、被災者は、キューピクルの扉内上部に設けられたサービス用照明を利用することとし、仮設電源を工場内コンセントから取り、コードの一端を裸にしてキューピクル内のコンセントに差し込んだ。サービス用照明を点灯させ、作業を開始したところ、キューピクル内の電路に接触して感電した。 接触した電路は、落としているはずのブレーカーが接続されていたことから、工場内コンセントから取った交流100ボルト電源がキューピクル内の変圧器によって6,600ボルトに昇圧された状態になっていた。 キューピクルは、電力会社より6,600ボルトを受入れ、変圧器を経由して100ボルトに落とされ、サービス用照明やコンセントに接続されているが、この事例の場合は、逆に昇圧されたものである。 被災者及び他の作業者すべてが電気工事士の資格を有していた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 作業に必要な照明を、製作中のキューピクル内に設けられたサービス用照明を利用したこと。この事業場はキューピクル等のメーカーであるため、当然、常態的にこのような作業が行われていたにもかかわらず、作業に必要な照明が確保されていなかった。 |
2 | ブレーカーの状態を確認しなかったこと。被災者は電気工事士の資格を有しており、ブレーカーが接続されていればキューピクル内の電圧が高圧となることを知っていたはずであったが、キューピクル内に入るに際し、ブレーカーの確認をしていなかった。 |
3 | 作業用として用意しなければならない照明を用意せず、また、コンセントへの接続に裸線を差し込むなど、安全意識が低調であったこと。被災者は、当該作業の責任者でありながら、裸線の使用や常態的に作業に必要な照明にサービス用照明を利用するなどの不安全な行為を行っていた。 |
4 | 作業手順が定められていなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 作業に必要な照明を確保すること。 作業内容を調査し、一つ一つの作業において照明が十分確保されるようにしなければならない。メーカーであれば同じ作業が繰返し行われることから、あらかじめ、必要な動力、照明をいかに確保するかについて確立しておかなければならない。 |
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2 | 製作中のキューピクル内の照明を利用させないこと。 キューピクル内の照明を利用するために、工場内電源をキューピクル内のコンセントに接続した場合は、変圧器によって危険な状態ができることは容易に判断できたもので、このような作業方法は絶対に避けなければならない。 |
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3 | 製作中のキューピクルに電流を流さないこと。試験等のために電流を流さなければならないときは、作業者の退避を確実に行うこと。 | |
4 | 照明を確保した上で、製作作業における作業手順を作成し、安全衛生教育を実施すること。 | |
5 | 職場巡視を行い、作業手順に基づく安全な作業の遵守状況を確認すること。 |