コンベヤーの移動中にチェーン張り具合の点検を行ったため、コンベヤー上を移動している部品に身体をはさまれる
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | コンベヤー | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101244
発生状況
この災害は、汚泥搬送コンベヤーのチェーンの張り具合を確認するために点検口からのぞき込んだ作業者が、コンベヤー上を移動している汚泥取出し用のスクレーパーに身体をはさまれたものである。 このコンベヤーは、受入れホッパーに投入された脱水済みの汚泥を焼却炉まで搬送するもので、コンベヤーの運転は焼却炉と連動しており、焼却炉負荷状況によって稼働及び停止を行うものである。搬送能力は毎時1.5トンで、ベルト幅は0.43mである。 焼却炉の運転は3直で行われており、1直の時点で、コンベヤーのコーナー部分の汚泥の堆積が多く、スクレーパーの機能が落ちていることが判明し、コンベヤーのチェーンの張りを調整ボルトによって調整した。そして、2直、3直へと「点検口を開けてチェーンの張り具合を確認すること」が伝達された。 被災者は、3直に属し、引き継ぎ事項の確認のために点検口を開け、内部を見ていたところ、移動してきたスクレーパーにはさまれて死亡した。被災者は保護帽を着用し、懐中電灯を携帯していた。経験年数は8年である。非常停止装置は点検口の近くに設置されていたが使用された形跡はなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | コンベヤーの運転を停止しないまま、身体の一部を点検口の中に入れて点検作業を行ったこと。 機械設備の稼働が自動化されるに従って、機械設備による災害は点検、整備等の作業を中心に発生している。しかも、自動化設備であるがゆえに、点検等の作業を機械設備の運転を停止することなく行い、被災している。 |
2 | 作業手順において点検の作業方法が明確になっていなかったこと。 自動化された機械設備は、自動で運転されることが前提であるため、点検、補修等にさほど意識が向けられず、運転途中において発生する点検等の作業手順が整備されていないことが多い。 |
3 | 機械の不具合が発見されたときに直ちに修理することなく、点検作業の引き継ぎを行ったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | コンベヤーの運転中の点検を禁止すること。運転中に点検を行わせるときは点検口の外部から行わせること。その場合には、点検口を頭部や手等の身体が入らない構造とすること。 | |
2 |
点検口を開けた時はコンベヤーの運転が停止する構造とすること。 当該コンベヤーには非常停止ボタンが点検口の近くに設置されていたが、焼却炉と連動していることもあってコンベヤーの運転を停止しにくい状況にあったとも考えられることから、点検口の開閉とともに機械の運転が停止する構造とすることが必要である。 |
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3 | 点検の引き継ぎをする場合は、安全な点検方法を検討し、文書に記載しておこなうこと。 | |
4 | 機械に不具合が発生した場合には先送りすることなく、直ちに補修等を行うこと。 | |
5 | 機械の各部分をあらかじめ調査し、点検等が必要な部分について、安全な作業手順を確立すること。 | |
6 | 作業者に安全衛生教育を実施すること。 |