木材束の結束が破損し、崩壊した木材の下敷きになり死亡
業種 | その他の木材・木製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 荷姿の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.101239
発生状況
この災害は、木材のパレットを製造しているZ社において、2段に積み重ねて置いてあった材料の木材束の結束が破損し、脇で作業をしていた作業者が崩壊した木材の下敷きになったものである。 材料の木材は、加工業者から一定数量の束にされ、Z社に納入されている。崩壊した木材は、前日に納入されたもので、納入された木材すべては作業場のある工場建屋に入りきらなかったため、残った2束を屋外に2段に積み重ね、上部にビニールシートをかけて置いていたものである。 災害発生当日、作業場では前日に納入された木材でパレットの製造が行われ、午後になると作業場に余裕ができたため、職長Aは作業者Bに、屋外に置かれたままの木材2束を作業場に搬入するよう指示した。Bは、木材にかけられていたビニールシートを取り、木材の脇でビニールシートを折りたたんでいたところ、突然、上段の木材が崩壊し、Bはその下敷きになった。Bは、直ちに救出され、病院に搬送されたが、死亡した。 崩壊した木材は、長さ4m、幅20cm、厚さ15mm、重量約3kgのもの200枚が両端から約20cmの位置に2カ所、結束バンドによって束ねられていたが、そのうち1カ所の結束バンドのカシメ箇所からバンドが裂けたような状況で抜けていた。 結束バンドは、幅15cm、厚さ0.5mmのポリエステル製で、カシメ部は長さ60mmの金属を折り曲げて、横に4カ所カシメられていた。 カシメ作業は専用の工具を使用して人力によって行うものであるが、納入された木材束の結束バンドのカシメ状態は不均一であり、運搬過程での損傷も加わって強度が落ち、破損したものであった。Z社では、木材が納入された際、木材束の結束状態を点検していなかった。 また、Z社では、納入された木材を置く際、束が崩壊するのを防止するために柵を設置する等の措置を講じていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | 木材束の結束バンドのカシメ部が破損し、木材束が崩壊したこと 木材の加工業者が行うカシメ作業の不良、運搬過程による損傷等によって木材束の結束バンドのカシメ部の強度が落ち、カシメ部が破損し結束バンドが抜けた。また、木材束を2カ所のみで結束していたため、1カ所の結束バンドが抜けたことで、木材が散乱した。 |
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2 | 木材受入れ段階で木材束の結束状態の点検を行っていなかったこと | |
3 | 柵の設置等、木材束の崩壊防止の措置が講じられていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 木材束を受け入れる際、結束の状態について十分に点検を行うこと | |
2 | 結束バンドのカシメ状態が不均一であることを木材の加工業者に通報し、適正なカシメ状態となるよう改善させること 結束バンドのカシメ部の破損が災害の原因となっていることから、結束バンドのカシメ状態が不均一であった場合には、このことを木材の加工業者に通報し、適正なカシメ作業状態となるよう改善させる。また、1カ所の結束バンドが抜けても木材が散乱しないように結束箇所を増やすとともに、運搬状況等から結束材の強度、1束の木材の適正量などについて検討させ、木材束の崩壊のおそれがない状態で木材の加工業者に納入させるようにする。 |
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3 | 木材束の崩壊、木材の散乱による危険を防止するため、木材束の保管場所には防護柵の設置等の措置を講じること |