鉄骨をトラックから荷降ろし作業中、鉄骨が荷台上で横転し、荷台上にいた玉掛け者が鉄骨とともに転落し死亡
業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 荷 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 用具、荷、取り付け前の部材等が飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の積み方、置き方の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.101237
発生状況
この災害は、建設工事に使用する鉄骨をトラックから移動式クレーンで荷降ろし作業を行っているときに発生したものである。 災害発生当日、トラックで現場に搬入された鉄骨(H鋼)の荷降ろし作業のため、作業指揮者A、作業者BおよびC、移動式クレーンの運転手Dが入場し、BおよびCはトラックの荷台上で鉄骨の玉掛けを担当した。 トラックへの積み方は荷台後方よりみて右側から、短尺(重量約1.5トン)、長尺(重量約4トン)、長尺(重量約3トン)、短尺(重量約1.5トン)に並べられ、それぞれ、2段に積まれた角材の上に載せられていた。 鉄骨の荷降ろし作業は、荷台の右側から順番に行われ、3本目の鉄骨をクレーンでつり上げたときに、1番左側の鉄骨が倒れ、荷台の左端にいたBが鉄骨とともに転落し、鉄骨の下敷きになって死亡したものである。 1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き倒れたものであった。鉄骨が運び込まれた現場では、トラックが到着し、鉄骨の荷降ろしを開始する際および荷降ろし作業中に、鉄骨の積載状況を確認していなかった。 また、倒れた鉄骨は荷台の左端から50cmの箇所に積まれており、転落した玉掛け者Bはこの50cmの隙間に立っていたため、鉄骨が倒れたときに安全な場所へ逃げることができなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | 積み荷である鉄骨が倒れ、荷台から落下したこと 荷台の1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き鉄骨が倒れた。 |
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2 | 荷降ろし作業の開始前および作業中に荷台上の荷の安定状況を確認していなかったこと | |
3 | 玉掛け者が逃げることが難しい箇所に立っていたこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | トラックの走行等による振動によっても不安定とならない荷の積載方法とすること 角材の使用に当たっては、角材の強度、変形などについて検討するとともに、輸送等の際の外力に対するずれや転倒の防止等を考慮した積載方法とする。また、荷降ろし作業では、荷台の左右から交互に降ろす等、荷台が傾かないように工夫する。 |
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2 | 荷台上の荷の積載状況を確認した後、荷降ろし作業を行うこと 荷降ろしの際には、荷台の振動等による荷の傾き、崩れ等が生じていないかよく確認し作業を開始する。 |
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3 | クレーンで荷をつり上げる際は、玉掛け者は安全な場所へ退避すること トラックに荷台上の荷をクレーンでつり上げる際は、つり荷の落下、荷振れ等による災害や荷台上の荷の転倒等による災害を防止するため十分なスペースがある箇所に退避した後で地切りを行う。 |