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この災害は、7階建ての建物の新築工事現場で、鉄骨柱のタラップを足がかりにして鉄骨の塗装作業に従事していた作業者が、足を踏み外して墜落したものである。
災害発生当日、作業者Aは、建物の4階付近で、鉄骨の組立て時に剥げ落ちた柱、梁等の塗装の手直し作業に従事していた。作業は、柱に取り付けられたタラップに足を掛けて行っていたが、タラップが十分な踏み面を有していなかったため、誤って足を踏み外して約7m下の3階コンクリート床面に墜落し、重傷を負った。
Aは、塗装作業中、安全帯を使用し、保護帽を着用していた。安全帯は、柱の突起部(鉄骨柱つりピース)に安全帯のフックを掛けて使用していたが、Aが足を踏み外した衝撃でフックから約20cmの箇所でロープが切断した。
安全帯はAが所有する1本つり用で、製造後6年を経過していたため、ロープが変色し、随所に焦げあとや塗料の付着があった。ロープは8本のストランドからなっていたが、うち数本はかなり以前から破断していた。この工事現場では、安全帯等の保護具の点検基準を作成しておらず、保護具の点検は作業者任せとしていた。
なお、この工事現場では、鉄骨の塗装の手直し作業は1日で終える予定であったことから、作業床を設置しておらず、また、防網等の墜落防止措置も講じていなかった。 |
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この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 |
1 |
十分な踏み面を有しないタラップを足がかりとして作業を行っていたこと |
2 |
作業床が設けられていないにもかかわらず、防網を張っていなかったこと |
3 |
安全帯等の保護具の点検基準を作成しておらず、点検を作業者任せとしていたこと |
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同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 |
1 |
高所作業を行う際には、足場を組み立てる等により作業床を設けること |
2 |
止むを得ず安全帯を使用して高所作業を行う場合は、作業場所の移動の際などで安全帯の使用が制限されることがあるため、防網の設置等をあわせて行うこと |
3 |
安全帯等の保護具の点検基準を作成し、点検結果を確認すること
安全帯は、経年劣化したものや、角の鋭い鉄骨等との接触、溶接の火による損傷等により強度が低下したものを作業者に使用させないようにしなければならない。 |
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