ダイカストマシンの金型に付着した金属くずを取り除く作業中、金型にはさまれて死亡
業種 | 自動車・同付属品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の一般動力機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.101235
発生状況
この災害は、ダイカストマシンの金型に付着した金属くずを取り除こうとした作業者が、金型にはさまれ、死亡したものである。 災害発生当日、派遣労働者である作業者Aは、アルミ鋳造品の製造工程で、ダイカストマシンによる鋳造およびプレス機械による鋳造品のバリ取り作業を朝から1人で行っていた。ダイカストマシンからプレス機械までの間5mには、産業用ロボットとコンベヤーからなる自動搬送システムがあり、Aはダイカストマシンの運転を全自動モードにし、専らプレス機械の操作を行っていた。 午後の作業を開始して間もなく、Aは自動搬送されてくる鋳造品の表面にアルミのくずが付着しているのを見つけた。そこでAは、ダイカストマシンの金型に溶射したアルミのくずが付着しているものと考え、これを取り除こうと金型の間に立ち入ったところ、金型が動き出し、金型の間にはさまれて死亡した。 ダイカストマシンの運転モードは、手動、自動(1サイクル動作)、全自動(連続運転)の3種類であり、Aが金型にはさまれたときは、全自動モードのままであった。 このダイカストマシンには元々、金型の手前に扉が設けられ、この扉を閉じた状態でなければ機械が作動しない構造となっていた。しかし、この事業場では、産業用ロボットによる鋳造品の自動取出しの際に扉が邪魔になることから、この扉を取り外した状態とし、代わりに両手操作ボタンを設けていた。しかし、全自動モードでは、2サイクル目以降はボタンから手を離しても運転が連続するものであった。 また、このダイカストマシンでは、金型や鋳造品に溶射したアルミのくずが度々付着し、その都度、アルミのくずを取り除いていたが、金型からアルミくずを取り除く作業の作業手順書を作成しておらず、また、派遣労働者であるAに十分な安全衛生教育を実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | ||
1 | ダイカストマシンの金型の手前に起動スイッチとインターロックされた扉が設けられていたが、これを取り外したまま使用していたこと | |
2 | 作業者が2サイクル目以降連続運転となる全自動モードのまま、ダイカストマシンの金型の間に立ち入ったこと | |
3 | ダイカストマシンの金型に付着した溶射したアルミのくずを取り除く作業の作業手順書を作成しておらず、また派遣労働者である被災者に十分な安全衛生教育を実施していなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | ダイカストマシンの金型の間に立ち入った状態で起動されないよう、金型の手前に起動スイッチとインターロックをとった扉を設けること ダイカストマシンの金型の手前に扉を設け、扉の開放時には、ダイカストマシンが停止し、起動しないようにインターロックを取る。また、扉を開放しながらダイカストマシンを動かす必要がある場合には、作業者が操作ボタンから手を離すと直ちに停止するような寸動モードのみとする。 なお、鋳造品を産業用ロボットが自動的に取り出す構造のため、金型の手前に扉を設置すると邪魔になる場合は、金型部分と産業用ロボットの可動範囲全体を囲う柵を設置し、作業者が柵の内部に立ち入ったときには、可動範囲全体とのインターロックをとることが必要である。 |
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2 | ダイカストマシンの金型に付着した溶射したアルミのくずを取り除く作業等、非定常作業についても安全に作業を行うための作業手順書を作成し、これをもとに作業者に対し十分な安全衛生教育を実施すること |